●首席補佐官、エマニュエルの横顔
バラク・オバマがWHのスタッフ・チーフ（主席補佐官）に選んだラム・エマニュエルRahm Emanuel（48才）は民主党下院の実力者で、その豪腕ぶりから小柄ですが名前をもじって《ランボーRahmbo》の綽名で知られている。小柄といえばオバマの初記者会見で後ろにいたヴォルカーさんの身長で2／3、体重では1／3じゃないかな。ユダヤ系の名前が示すように親イスラエル、米国のイスラエル社会に精通し、イスラエルからは米政界の「我らの手」と信頼されている。

●超親イスラエル
オバマがイスラエルロビイストAIPACの年次総会で『エルサレムはイスラエルに帰属する』とギョッとするパレスチナを袖にする発言をしたのを思い出してください。（6月４日●意外なオバマの顔、強烈な親イスラエルの項と、6月７日のコラム）あの発言は先に同会でマケインとヒラリーがイ強いイスラエル支持スピーチを行っているので負けられない意気込みもあったろうが、何を話すかを伝授したアドバイザーはこのエマニュエル氏でした。数日後にオバマは撤回するが選挙でマケイインに回るはずのユダヤ系米人が75％もオバマに投票した原動力はエマニュエルのお陰である。

●父はイルグンのメンバー
イスラエル建国に至る1931〜48年代、パレスチナと委任統治国イギリスに対するテロ活動をおこなったシオニズム運動の工作組織があった。この地下組織『イルグン』、ヘブライ語では『エツェル』にエマニュエルの父（現在は小児科医）が加わっていた。筋金入りの愛国者である。母はX線技師。余談：イルグンのリーダーであったベギンはその後首相になりノーベル平和賞を受賞した。

●資金集めで頭角を顕す
ラム・エマニュエルはシカゴのユダヤ正教の家庭で育った正統イスラエルの友として、米イ両国の国籍を持っている。したがって1991年の湾岸戦争に際し、イスラエル軍に志願したのは特別なことではない。レバノン国境警備に配属され、帰国してクリントンの選挙運動に参加した。オバマのキャンペーンについて回ったボランティアの若者に似ているが、資金集めに異能ぶりを発揮した。クリントンの政策・実務グループと一緒にハワイトハウス入り、クリントンの補佐官として長期５年間をイスラエル外交の窓口役をつとめた。

●クリントン補佐官から銀行役員へ
その後か先に話があったのかは定かでないが、金融景気の良かった頃、多額の給料で銀行の重役に転出した。そのため金融界にも明るいと言われるが、2〜3年政界とのパイプ役をしたくらいでどうですかな。資金は貯めたし、元々資金集めは得意のひとですから北部シカゴから下院議員に当選した。2002年のこと。翌年オバマが同州から上院議員に当選、同郷同輩のヨシミ、特にオバマにとっては数少ない友人のひとり。

●下院議長をめざすか、オバマの首席補佐官か
06年の中間選挙で民主党躍進の原動力となり実力者に浮上した。03年のイラク侵攻に賛成し、ブッシュの中東政策を熱心に支持してきたが、このころからブッシュの対イスラエル態度が煮え切らないと非難しています。しかしこのイスラエルの友は勇敢にイスラエルのレバノン侵攻を弁護、民主党の変わり種であり、現在民主党下院での席次は４番だが、ペロシの次かその次を目指していたのでオバマからスタッフ・チーフに頼まれていたが返事をジラせ、選挙結果が出てからも少し待たせてOKした。承諾した日、名誉なことなんて記者に話しているが、この辺の慎重な読みは本来クリントンに恩があり、ヒラリーを支持してきたことと関係あるかもしれないが不可解。

オバマとしては側近No1として、議会対策、中東政策、金融界に通じ、ホワイトハウスの内部を知っているエマニュエルが最適だ。これは世間で言われるような気の置けない友達の要素は１0％、90％は政治的選択である。

●バラク・フセイン・オバマとラム・イスラエル・エマニュエル
さて、中東ではエマニュエルの経歴を知って知らずか、オバマはアフマディネジャフに歓迎され、ハマスからも対話の呼びかけがあった。彼らはオバマのミドルネネームが「フセイン」であることを良く知っている。因にエマニュエルのミドルネームはパレスチナ紙によると「イスラエル」です。バランス合ってますな。

本稿は主にNTB(Norwegian Telegram Bureau)to以下のサイトをソースに私的見解を加えました。（了）
http://blogs.abcnews.com/politicalpunch/2008/11/will-the-arab-w.html
http://electronicintifada.net/v2/article9939.shtml

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