安達正興のハード@コラム

Masaoki Adachi/安達正興


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日本帰省日記 (8)
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( 2016年 12月 25日 日曜日)


●11月9日、博多
新山口から博多までは30分で行ける。特にキリシタン遺跡を見るわけでもなく、旧知のIさん夫妻と会うのが目的。Iさん夫妻がベルゲン勤務の時、長男が出生、その赤ちゃんが今や大学院を終えて、仕事で一年目。就職が決まった院生のときに、一歳を過ごしたベルゲンを見たいと、一昨年当地に来たときにIさん家族が住んでいた2カ所を案内して一日をすごしたのだが、我が家にも両親とよくきて、ハイハイしだした頃にはベルゲンを離れたあの子が、立派な青年になっていた。

11時ごろ博多に着いて、その前日に駅前から直進する通りで陥没事故があったのだが、拙子らのホテルは、駅の南、車の渋滞はなかった。荷物をホテルに預け、駅まで歩いても近く、そこで地下鉄に乗って天神駅へ、地下街を歩いて昼の定食を食べ、地上に出る。が、歩くのが億劫で、「博多町家・ふるさと館」というところへ行こうと、地下鉄祇園駅へバックする。日はまだ高く、南国らしくポカポカと気持ちが良い。表参道通りに入ったところに公園があったのを幸い、家内と休憩。行き交う人々を漫然と眺めていると、われらつがいもと退職老人になったもんだと口には出さねど感じ入ります。しかし向こうで通路の低いコンクリ壁の上で、寝そべっている男は、浮浪者に見えないが、他には考えられないが、さて何者か?落ちもせず起きそうにない。いつ起きるか確かめずに先へゆくことにした。

駅から徒歩5分と案内にあったのが、心配になってきた。土地の人らしい通行人に尋ねると、このままもう少し行くと櫛田神社があって、その手前を左にゆく道を入ればすぐです。と教えられる。来た道は正しかったが、5分じゃ無理です。

●博多町家・ふるさと館
ごく数件、町家(まちや)の並びがあって、その一軒がふるさと館である。わざと2階屋を取り払ってあるのか、豪商の家宅のように天井が高い。中では「博多織」の実演、帯をパタンパタンと細い糸を複雑に織っている。「博多独楽」を回転盤に載せて絵付けしている女性がいた。色の細い輪を描くのに、息を詰めて筆を持つ手を定める。作業中には質問に答えられるわけがないのに、無頓着に話しかける見物人がいて、なぜこうも常識がなくなったのだろう、いつから傍若な大人がこの国に出て来たのか、何かもう付いていていけない感じがする。

隣のふるさと館土産物店で、中ぐらいの独楽(こま)を一つ買う。箱が大きく、満杯のリュックに入りそうにないが、まあいいだろう。

帰りに櫛田神社に寄る。川上音二郎関係の碑や建物があるところを見ると、この明治の役者は博多出身でしたか。境内に博物館があったので、拙子だけ一巡しようと中に入る。当然区櫛田神社の歴史博物館であった。博多祇園山笠を見たことはないが、その歴史的展示が勇壮で数多く、奈良春日神社や出雲神社のようなおっとりした祭りではないですね。また、古書収集が量、質共に驚異的。博多の街は新しくとも、歴史は国の始まりと共にあったと言える。

出て来たら、家内が言うに、幼稚園だか小学低学年の一団が記念写真に建物基壇のコンクリの上にそのまま立ったり座らされて、長くかかったものだから冷たくて泣き出した子がいた、と憤慨している。日陰の基壇ではつめたかろう。軽装な子らを見かけると、なぜ冬に暖かい帽子と厚底の靴を履かせないのか、なぜ先生が父兄にそのことを知らせないのか、孫のことを常々頭にある年代になると気になるのですな。

●友あり遠方より来るまた楽しからずや
夕刻、Iさんの長男Kくんが迎えに来てくれた。一緒にIさん宅にタクシーで向かう。あたりは新しい埋立地で、ニョキニョキと高層マンションが立ち並び、変化するイルミネーションに彩られた福岡タワーが見え、眼下に緑豊かな福岡市総合図書館を眼下にみる高層マンションである。広さも十分な結構なお住まいである。奥さんはベルゲンにいた新婚当時より、快活でお元気になられた。やや遅れてI さんが帰って来た。オフショー掘削から地熱に転向してDrに、今はケニアで地熱発電所を建設しているので、幸い今週は福岡だが、明後日はまたケニアへ一週間出張という。ラフな格好だった彼が、黒の上下にネクタイで帰って来たので、驚いてなんですか、お葬式でもあったのかと聞くと、毎日こういう格好でないと具合が悪いという。そういう地位なのでしょう。

みんなで、真向かいのホテルにある豆腐づくしの「梅の花」へ。家内も座れる掘炬燵式で湯葉料理をご馳走になる。遅れて勤めを終えたお嬢さんも加わ理、賑やかに会食しました。家内が来ると知り合いの皆さんがとてもよくしてくれるのは、しかしどういうわけか。拙子より家内にお世話になったという気持ちがあるらしい。

という楽しい1日でした。明日は長崎へ向かう。






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