安達正興のハード@コラム

Masaoki Adachi/安達正興


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日本帰省日記 (5)
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( 2016年 12月 12日 月曜日)


●11月2日
夕方、これまで拙本の出版でお世話になった方々と会食。帰省時の恒例で旧交を鍋料理で温める。
M・Sさんはデスクを担当しているので、夜遅くまで最終稿を見届けるまで役目があるので、来られないのだが終わる頃、義理堅く顔だしに来られ、デザートだけ一緒された。
T・Kさんはたいへん心遣いのある人で、数日の奈良とともにとても気の利いた贈り物を用意されるので恐縮する。いま出版の担当にあるM・Kさんからは新刊なった『奈良新聞七十年史』を戴く。これは奈良学を齧る者にとって何かと役に立つ書である。

●12月3〜4日
3日と4日はフリーの日、何をしていたのか、思い出せなく嘆かわしい。奈良ファミリー(イオンのショッピングセンター)がリニゥーアルされ新開店なったところ。超満員だとかでここは避けてイトヨーで気に入ったシャツや野球帽を買う。帽子には球団章でなくてプレーボーイの文字と例のウサギがついていた。あとでここがPlayboyブランドの店と気がついたが、暖かな作りで気に入っている。

通称「千円散髪」とう理髪チェーンをご存知か? これがイトヨーの閑散たる上階に例外的に流行っている理髪店がある。家内も経験のために一緒にここでで頭を刈ってもらう。とにかくヨーロッパでは見たことがないシステムなので、家内は感心することしきり。
落ちた毛は吐きこみ口に、頭は掃除機のチューブが天井から降りてきて、吸い上げてくれる。完全に吸い上げるので、後でクシャクシャすることがなくとても良ろしい。
家内は言った通りに梳いてくれるので、とても気に入った様子。ノルウェーの美容室ではなかなか思い通りに梳いてくらないので、髪の膨らみが気になり、しかも邦貨にして8千円だから、実にお得で儲かった気になるらしい。「千円散髪」では使ったクシ、クロスは毎回変えるので清潔でよろしい。代金は先に自動販売機で買うのも理容師の手を通さないので清潔だ。早くて時間のムダがなくなるのがありがたい。

●12月5日、佐川美術館


土曜日、卓球で多忙な兄の奥さんが開く日というので妹の運転で兄夫妻と我々5人で、申し込んでおいた佐川美術館の茶室見学にゆく。ところは琵琶湖を臨む近江・守山、琵琶湖の東北側に位置する。不便といえば不便、ここを目指さない限り、都市を歩いて出くわす場所ではない。

来てみれば人影まばら、駐車場は閑散としていた。そんな場所に一目するデザイン、透明感のある水庭に浮かぶように設計、四季の借景をイカした和風鉄筋の美術館がある。佐川急便40周年記念に建てたという。当時の社長栄一が金に糸目をつけずにつくった大美術館である。
特に建築家はいなくて、竹中工務店が持てる技術をフルに活用して建設に当たった。茶室は申し込みで一回、20名弱、ガイド嬢の案内で見学するシステムである。楽吉左衛門の構想による超モダンな茶室でここも資金に糸目をつけない細工がすごい。だがどこか冷たく空虚な感じで、拙子には見る以外に用はない建造物である。

アプローチは地下に降りる。そこは水底の下にあり、待合の所からガラス越しに空が見え、水底の水が半円状に流れ落ちる仕掛け。いくつもの大小茶室があって、一階に上がると数十人の茶会ができる大茶室の前にあれは彦根山か、一面に景色が見える。最初は誰もわからなかったがガラス越しなのですな。それでガイド嬢に二重ガラスですかと聞けば一枚ガラスという。じゃ、冬に結露するのですか。いえ床と天井から暖風が出るように待っています。なるほど、天井と床のガラスの間に細いスリットがあった。夏にカーテンはというと、ガラスから少し離れた茶室前に、電動式で上げ下げするスダレを用いる。内装の石は全て真っ黒なジンバブエ・ブラック。花崗岩であるが、それは別に不思議でなく日本の石材業者は、アフリカ産、中国産など世界中から買い付けている。ただ、ここのジンバブエ・ブラックは巨大である。10m x 3m x 2mくらいのをふんだんに使っているので、それがガイド嬢の自慢だが、アフリカでの陸運と喜望峰を回る貨物船、並みの起重機では追っつかないだろう。いや客観的にはすごいもんだ。

しかし、かようなところの茶室ガイドをする人はどうもお高く止まって偉そうにして降りますな。考案設計したという当代楽吉左衛門をあまり褒め仰具ので鼻につく。見学する方も我々以外は妙に畏まっていて面白くない。

美術館は平山郁夫館、彫刻の佐藤忠良館、楽吉左衛門の陶芸展示室を常設、栗和田社長はなぜか拙子の好かない作家ばかりを集めている。特別展示室では「三蔵法師展」をやっておりましたがこれはじっくり拝見させていただいた。






Pnorama Box制作委員会


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