安達正興のハード@コラム

Masaoki Adachi/安達正興


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日本狼を捜索する人々
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( 2016年 10月 12日 水曜日)


●1910年捕獲獣のミステリー
最後の狼The Last wolfとされる前記、東吉野村鷲家口(わしがぐち)の捕獲から5年後の1910年8月、福井県松平の農場試験場で一匹の獣を射殺した。  これなになに? 野犬? それとも先日動物園から逃げた朝鮮狼?で、動物園へ持ってゆくと、おそらく本州狼だろう、当園のものではないという。ホンシュウオオカミ? では絶滅したのではではなかったのですか。
 

1910年(明43) 福井県松平の農場試験場が射殺した狼? 記念写真と、アップ。脚長で尻尾の先が丸く、本州狼の特徴が見られる。

●空襲で死骸消失
この一件は当時の雑誌「猟友」に体重、体長など観察所感が掲載されていた。その後農場試験場では死骸に保存処理を行って保管していたが、福井空襲によって標本が消失したのである。残念至極!

2000年代になって、東京国立科学博物館の動物部部長と学芸官、ニホンオオカミの権威と言われた二人が、残された数枚の写真と、「猟友」の記事を仔細に比較検討し、「ニホンオオカミである」との結論に達した。

だが、いくら綿密で100%正しい結論であっても、実物検査抜きでは如何せん、傍証に過ぎない。国内でも学会は割れ、国際的認知はムリとあって、動物学者たちは諦めているうちに、環境省が50年規定にしたがって絶滅種に登録した。しかしながら、内外の狼オタクは アンダソンとロンドン自然博物館が決めたホンシュウオオカミがLast one でんはないと譲らない。

●目撃談とオオカミ探しの活動家
1940年から10年ほど、狩猟の減少と、小動物の増加のため、狼もまた増えたのか、狼と遭遇した逸話が多い。その後も様々な目撃談や、不明瞭な写真が出た。次の最新の狼写真は明瞭でごまかし映像ではない。

福岡の高校校長 西田智(さとる)氏が退職後、狼探しに本格的に取り組み、祖母山で2000年に撮影した数枚がある。だが、国立科学博物館の上記エキスパートは狼ではない、犬と交雑したいわゆる狼犬だと退けた。そこで西田氏は執念の狼追跡を本に書かれたのでる。実に面白く、一途な探究心に脱帽です。

「ニホンオオカミを探会」というNPO法人の代表、八木博氏は、秩父山系のオオカミ探索の第一人者、三峯山博物館の客員研究員でもある。この人も退職後をオオカミ捜索に集中されている、氏が主催するブログ「ニホンオオカミを探す会の井戸端会議」http://blogs.yahoo.co.jp/canisyagi/folder/ に臨場感あふれる写真と文がある。次のページクリックしてゆくと全39ページもありました。


上:日本狼? 2000年7月 九州祖母山で西田智氏撮影
            右上:秩父野犬、1996年10月 秩父山中の林脇で八木博氏撮影

 上:西田智著「日本オオカミは生きている」二見書房
           右上:1976年7月23日 高知県大月町で捕獲された幼い仔狼

●標本で見るニホンオオカミ


東京国立科学博物館蔵   右:撮影八木博(NPOニホンオオカミを探す会 代表)


  上東京大学蔵      和歌山県立自然博物館蔵


シーボルトが市域していたニホンオオカミ。オランダ ライデン自然博物館蔵 シーボルトは江戸参府の途上、大阪・天王寺で狼と山犬を購入、長崎出島で飼っていた。剥製にして持ち帰る。

 
ロンドン自然史博物館, 頭骨 最後のホンシュウオオカミ ワシガグチ

 

埼玉県秩父市 秩父宮記念三峯山博物館(2002年発見・確認)







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