安達正興のハード@コラム
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奈良零れ百話・春日山の狼
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( 2016年 10月 9日 日曜日)
●春日山の狼 幕末まで狼がいた。鹿を食い殺すので、文久元年4月25日の真夜中、春日神社近くの鹿道(ろくどう、万葉植物園の入り口辺)で猟師二人が雌雄の狼を発見、猟師久八が、雄の狼(ニホンオオカミ)を仕留めたことが数日後の奈良最初の新聞「日新記聞」掲載された。 討ち取られた狼を、奈良の日本画家・宮崎豊広が等身大に写生、体長,体高,尾の長さなど尺寸で注記がある。春日大社がこの「狼の図」一軸を所蔵している。 この頃は、夜半に鹿を襲う狼が出没し、社家では夜中に吠え声が聞こえて恐ろしげである。それで猟師を募り、狼狩りを行った。人間ですら神鹿を殺せば極刑とされていたので、奈良奉行にお伺いを立てるまでもない。打ち取った狼はまず、春日大社歴代宮司を勤める大乗院にご覧いただき、京都に運んで大乗院の上役たる関白・藤原家摂関二条斉敬(なりゆき)に供覧した。 ●若草山の鹿を襲撃した野犬の群れ
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