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奈良零れ百話・雷にまつわる伝承
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( 2016年 1月 30日 土曜日)
●秋篠寺の雷塚
奈良西大寺駅から北東に歩いて行けるところに秋篠寺がある。京都戦の平城駅からの方が近いが、数少ない各停に乗り換えるより西大寺駅からが手軽である。ここの本堂に行くために拝観料がいるのだけれど、ちょいと首をかしげて拝観者を見下ろす「技芸天」の優雅な立像は、一見の価値あり。実際人気がある。 つと本堂の右手に回ると長方形の平たい石があり、横に『かミ奈り石』と刻まれた標石が立っている。標石がなかった頃、伝承の時代には雷塚と呼びならわしていた石なのですが、その伝承が事実めかしておもしろい。 承和7年(840)の夏、ということは都平城からを平安京に移した後のこと、秋篠寺の僧、常暁律師は雷を捕らえた。雷は「命だけは助けてください」と頼むので、常暁律師は「この寺に2度と来ないように、お前のへそを預かろう」といって雷のへそを預かった。雷を捕まえた場所が、この平べったい石のところであったという。 そうすると、世間話にある雷にへそをとられるという怖がらせは、へそを取られた雷が代用品を取りに子供を狙うというわけですかな。 伝承によれば、現在、同寺に雷の臍と呼ばれるものが残されている、とされるのですが、拙子が確かめていない。千年の時を経た雷の臍などバカバカしい思いもあって尋ねたことはない。 当時はもちろん雷の正体を知らず、したがって避雷針がない。秋篠村の人々はこの寺には雷は落ちないと言い伝えを信じて、夕立の時は雷を避けてこの寺に集まったそうです。 ●雨乞い争い 《補記》 ?高竈(たかおかみ)という名の神社は全国にあり、ほとんどが山頂に鎮座している。元来水を司る神でここで雨乞い行われた。現今では、行きやすいところにある高竈神社は何でも願掛けできる神社に様変わりした。 |
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