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奈良零れ百話・名僧の肖像-5-2
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( 2015年 10月 11日 日曜日)
前回の続き、無着・世親菩薩像を見分して私感をのべる。 ●無着が手に持つ袋包み
●左目を縦に走るキズ ●失われた世親の事物 世親は宝珠か塔に入った「仏舎利」つまり」釈迦の遺骨・遺灰を手にしていたと考えられている。もうひとつ惜しいのは顔貌がまだらに黒ずんで働き盛りの壮年像が台無しになっていること。それで袈裟の吊り金具や、袈裟の裾を腕にあげ、様式化されていない衣紋ばかりが目立つのである。眉間にしわ寄せ、きっと鋭い眼差し。肩は丸く肘をやや突き出して貫禄の体躯である。けだし、厳しさ保ちながら円満な容貌をうしなわない。運慶もまた人生の円熟期に入って微妙な表現にわが国の仏師として初めて未開の新境地を開いた。この両像を拝してそうおもう。 |
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