●まきば牛みな座りおる暑さかな
と、拙句が口つくデンマークの夏に、滞在一週間を過ぎてやっと遭遇できました。朝のはやいうちからDjursサマーランドへいく。孫たちが、のりものに興じている間それがしと家内は幼児車とにもつを番して、気長にまつわけですが、ベンチなり、石に腰かけるため 陰をさがしている。
●南風
急に暑くなった原因は、北西の風が南東の風に変わったためである。北極の風にかわってスペイン -フランスから南風がデンマークに吹き寄せた。南風(なんぷう)と来ると、反射的に目に浮かぶ油絵がある。和田三造の「南風」、筏に突っ立ち、真っ赤な腰巻きも鮮やかに筋骨隆々の男が頭かぶりをひるがえして前方をジット見つめている油彩、教科書にカラー刷りで載っていたから、拙子の世代人なら、南の風と和田三造は一対ではなかろうか。
翌日、つまり今日はもっとあつい。風速15mに上がったのに南風だ、風がやむと暑苦しいほどで、日本の夏がボンヤリよみがえる。
というのも日本の夏に突然置かれると、体にキツいので、ここ35年くらい、帰省していないのです。
●夕立とシャワー
夕方、予報の通り雷をともなってざっと降りだした。拙子は「夕立」と上機嫌で呟いた。家内は、そうではない、デンマークに規則的な日本のような夕立はないという。時候に関わらず単にシャワーで済ませるのはイギリス、アメリカと同じで味気ないと思うぞ。
今日の一日は砂浜で過ごす。暑さ厳しいといえ海水は冷たい。家内と娘は平気で海にはいるが、他の大人も子供も膝までである。こどもたちは海岸でいくらでも遊び方がある。砂の城、からだ埋め、貝殻や食べられそうに瑞々しい海藻、はてはかにの死骸探しまでよ。余念がない。
海浜のレストランで遅い昼食、大人は拙子をのぞいて5人が巨大なスペアリブを食べる。全部平らげたのはひとりだけ。たいへん美味しいけれど、なぜこうまでヴォリュームがあるのか摩可不思議である。
帰ってそれがし夫婦は午睡、息子と娘の家族は家の室内プールで遊ぶ。孫の一人がバブルスパーから飛び出してプールにドブンと飛び込んだよし、腕に浮き輪がないのを忘れていたのだ。助け上げて貰うまで様子数秒バタバタしたらしいが、ま、あの子にはよい薬になっただろう。