安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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特別待遇の驕り
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( 2015年 1月 8日 木曜日


●その一、ナッツ姫
ナッツリターンで騒動になった前大韓航空副社長のチョ・ヒョンアさんが誠にしおらしく、頭をうなだれ蚊の泣くような声で謝罪したうえ叱責したチーフパーサーノルウェー自宅まで行って、留守宅に詫び状をさしだした。これみな表向きの形であって、発言内容は「不本意ながら社会に物議を醸し、顧客や国民の皆様に申し訳ない。私のために傷ついた方が いるならば寛容な許しを請う」と、かなり高飛車な謝り方でした。

社内では暴言とわがままをぶっつけ事件の処理にあたる大韓航空常務と組織的隠蔽を計ったというのですな。乗務に「わたしの何が悪い?」と毒づいたというから、育ちの悪さは一朝一夕に変わるものではありません。
曰く「マニュアルをきちんと熟知できていない者を下ろして何が悪いのか」。自分は正しいと内心固く信じているところが社長令嬢「特待育ちの驕り」なのだ。こういうことをすると検察の毛を逆立てるようなもので、もちろん法廷では判事の心証もよろしくない。

航空保安法違犯に関していろいろな罪状があるだろうが、なんといってもチーフパーサーは客室にあって諸々の揉め事を治めるのが職務。運航変更は機長の判断であるが、暴れる客を途中で降ろすよう要請するのはチーフパーサーである。そう言う職務の事務長さんを降ろして、交代の事務長が入った話は聞かない。じゃ客室の安全はどうするの、無茶な話だが自信過剰のナッツ姫には機長も従わざるをえない、というオーナー専制が通る悪しき慣習が問題。

これで少しは民主的な企業になるなら、ナッツ姫さまはよい機会をあたえてくれました。

●その二、STAP論文
忘れもしない、スタップ万能細胞のニュースに驚喜してコラムを(2014.1.31)書いた。その一節に:
>30歳の女性、理研のプロジェクト・チームリーダーと知って何重にも感激しています。なんでも先生になるハーバードの教授が10年やってきたのをこの小保 方さんがスイっとやり遂げた。エライもんだ。外紙の見出しにMajor Scientific Discovery / Big Leap / Breakthrough / A Step Closerとか並んでいる。ロンドン大医学部の教授が「なってこった、ゲーム変更だ」My God that's a game changer!' と感嘆しております。<

ま、しかし徐々にこれは怪しいぞと思わせる他の科学ニュースがあり、指導笹井芳樹氏が自殺したのはSTAP
細胞が存在しないと知っていたからである。存在が実験で実証できるならノーベル賞確実であり、どうして自殺しなければならないのか、まったく根拠はないのである。

問題は「STAP細胞はあります。200回ぐらいあります」と、どこからそのような自信がでるのか、結局やってみたが彼女も理研チームも出来なかった。なんのことはないES細胞だったというからおどろきだ。正確・無誤謬を期する科学的実験が、基礎からデタラメであったとは…。

一人の研究者が自身の研究室を与えられ、上司の検証もなしに実験を進める「特別待遇」に足が浮いてしまった。やはり「特待の驕り」が小保方さんにあった。そのため自分の研究と論文作成に虚飾したことを謙虚に判断できなかったことが騒動を長引かせ、自身を悲惨とも言える状況に追いつめたというのだとおもう。

さて、ナッツ姫は有罪判決を受け刑期をおえたあと、生活に困りはしないが、ファミリー企業のひとつに落ち着くでしょう。小保方さんは刑事犯ではないから、転職にはこまらない。心神の具合がよければ未来はあかるい。(了)


●一年の計は元旦にあり
とは言い古され、こういう新年の約束とか新年の誓いと言われる格言は世界中にみられる。でも禁酒など所詮無理、毎朝ジョッギングも続かない。一方で切実な願い事はたとえば「今年こそ離婚するぞ」とか「俺は会社を辞める、あんな上司では先がない」など口には出さねど心に期する人は少なくないであろう。相談事ができる友人に漏らしても止めとけと説教されるがオチでしょう。でもね、後事うまくゆく現実的な「計」があるなら実行していただきたい、と新年ごとに余生が短くなるシニアたるそれがしはおもう。(了)






Pnorama Box制作委員会


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