安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ルーテフィスク
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( 2014年 12月 24日 水曜日


●ノルウェークリスマス料理のひとつ
Lutefisk !これは旨い。それがしお呼びがかからない年金生活者であるが、それでも3度ばかりお呼ばれがあった。一度はレストランでこれからお話しするルーテフィスクを義弟らと食べる会。しかも、一人二人前で予約してくれていた。アケヴィットと水がわりにビールで、喉まで満腹、強いアケヴィットのWショットを二つで、ハーハーフーフー、よく回りました。近年稀な最高の夕べなり。

●レシピー
ルーテフィスク、と日本語でもレシピーがあるようなので、見るとこれがとんでもない代物。似ていてもまず味がまるで本場とちがうはず。何故って、もと食材の干しタラのデカサが違ううえ、戻し方が灰汁抜きする・・とあるのがピンとこない。

灰汁を怪獣と読む若輩に用はない。しかしルーテ=灰汁(アク)つまり灰の上澄みなど市販されていますか。いるなら別だが、藁灰や木灰があればよく、たいていの当地住居にある薪ストーブで灰が出る。しかしその灰を鍋で湧かして灰汁をつくるような面倒な事は誰もしない。暖炉灰用の真空掃除機がある家、なければ灰受けをゴミ袋にあけて仕分けなしのゴミキャリアーにいれておくだけだ。

レストランでもルーテフィスクをメニューにのせているところは非常に少ない。手の込む料理で、作ったら長持ちしないためクリスマスシーズンだけとなっているが、材料は「干したら」である。冷蔵庫にいれなくて2年は使えるので、家庭ではいつでもできる。家内がすくいなので年に5回くらい食卓にのぼる。そういう家は多いだろう。

●バカラオに使う干したらはクリップフィスク
さてタラ魚のシーズンは2/3月といわれ、ノルウェーでも北の近海が本場、巻き網漁船で獲る。タラは頭と内蔵を取って海辺に作ったタラ干の桟に架けるだけ。塩はほんの少量、「寒干し」である。雨が雪が降ろうがおかまいなし。半年でカチカチになって金槌代わりに釘が打てる…とそこまではいかないが、干上がったタラは体長半減、白い魚肉は皮のように薄く、これが食えるのかとおもうくらい。そのほか切り身にして塩でまぶしてから乾かしたのをクリップフィスクといい、殆どスペインのバカラオに輸出されている。

●ルーテフィスクの戻し方
ルーテフィスクだが、料理するには硬すぎて水では戻らないため、柔らかくするため重曹(炭酸水素ナトリウム)に漬けておくと・・数日でやわらかく体積が倍に膨らんで白身がうまそう。しかし重曹は苛性ソーダの類いだからアンモニア臭くて猫も食わない。で、バケツに戻したタラ入れ、水を流しっぱなしにして重曹の臭みを洗い流すわけです。

ついでに栄養分も洗い流すがかまわない。この際は美味を目指す。この水道加減が難しい。一昼夜やりすぎるとアンモニアの臭みは抜けるが肉の締まりとプルンプルン弾力性を失う。亡くなった義父が名人で義父のルーテフィスク実に旨かったが、後に亡くなった義母はダメ、家内はまだ劣るが、ベーコン入りのバターソースをたっぷり掛けるとやはり旨い。またアケヴィットはノルウェーの地酒でジャガイモから作った焼酎みたいなものだが43°の強さがあり琥珀色、呑み方はストレートしかなく、薄めるとダメ。個性が強く脂っこい料理に口の中を整えてくれ、料理がまた美味しくなるというわけ。

●ベスト・テイスト
お呼ばれのレストランで食べたルーテフィスクは大振りで臭みが全然ない。ステーキベーコンの角切りステーキが満杯のバターソース、豆のマッシュも手頃、ジャガイモは高級品種、総てよし。もう一皿食べるかと訪ねるウエイトレスに全員ハイハイと声が会う。待つ間もなくサービスワゴンを押して彼女がきた。ルーテフィスクの皮と骨をとってサーブしてくれる。ジャガイモはもう結構、ソースをたっぷり…食べれるかな…全部たいらげましたがな。デザートはパスしてコーヒを2杯いただく。気がつくと広い予約専用のレストランは予約客が揃ったか満席になっていた。

今日はよい日でした。(了)






Pnorama Box制作委員会


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