安倍日本の国会解散、衆院総選挙は激震であっても、北欧では微かなユレも感じられない。同じように今、スウェーデンでは発足二ヵ月の政府が予算案を野党に大差で否決されて、首相は選挙を表明。政治的に安定した国スウェーデンでは半世紀ぶりの激震である。が、日本まで揺れはとどかない。してみれば、諸氏には鼻白むコラムになるかとおもう。予め断っておく。
●右から左へ舵を切った社民党新政権
長期政権にあった穏健党(Moderat) による中道右派連合が、9月15日の総選挙で得票40%を割り込み、中道左派・社民党(Sosial demokrat)左翼党(Venstre)と緑の党(Gr_nn)による左派連合が政権を奪取した。とはいえ、新しい左派の与党連合は過半数に達せず、連立政府の団結は弱い。
社民党党首で首相になったロヴェーンStefan L_ven氏は溶接工から労組代表の経歴、スウェーデンでも知名度の低い人物だったが、総評議長だった太田薫氏に似て、押しは強い(日米安保闘争で大田ラッパを覚えている人、もう少ないかな)。穏健党のラインフェルトと好対照、ここらでアキがきた保守から左派への交代時期になっていた。
ロヴェーン社民党と組んだのは緑の党と、左党(Venstre)だから連立政権は赤緑政府(R_dgr_nne Regjering)と呼ばれている。
●手始めの仕事、新年度予算案で転ぶ
しかし政府案で提出した 赤緑予算案は中道右派の穏健派が拒否、どちらにも属さない極右のスウェーデン民主党(SD, Sverigedemokrat)が野党穏健党についたため、政府予算案は182対153不成立におわった。この極右政党SDはリベラルな移民法に反対して急速に支持を伸ばし、12.9%を締める独立第3政党に肥大、まさにキングメーカーを実証した。フランスの極右政党であるル・ペンの国民戦線に酷似しております。
●スナップ総選挙
政府予算案が否決されるや、首相は間をおかず記者会見。野党が建設的な取り組みに応じず、SDのやり方を「国会を遊戯室/プレイハウスのように玩ぶ」と非難。政府予算案をの信を問う総選挙をきたる3月22日に行うと言い放ちましたぞ。12月29日以後なら合法らしい。
ところで、政局打開に向けて、首相が意表をつくように解散総選挙に打ってでることを英語ではSnap Electionと報道される。日本語でなんというのか教えて下さい。
●予想
きたる選挙では右と左、どちらが伸びるか縮むか、予想は発足二ヵ月で政治混乱をおこす与党はダメ、政策論争は大方似通った予算案よりも、急増する移民政策に賛成か反対かを問う国民投票だ。という意見、あるいはつよいリーダーがいない中道右派より、リーダーシップのある中道左派が信を得て勝つ、との予想がやや多い。安倍晋三の賭けは勝つと予想される。ロヴェーンの賭けはいまのところまだ未知数。(了)
NY速報を追記:NYでも首締めChokeholdで黒人犯を死亡させ、刑事告訴された白人警官を大陪審員が告訴を否決、却下した。これはファーガソンより10倍酷い。今夏、路上で無税の不法タバコを立ち売りしていたEric Garner(43)が、警察の方針で禁止されている背後から首締めの方法で窒息死した。この黒人は大男であるといえ、暴力で立ち向かって来たわけでなし、スキをみて私服警官が背後からガッチリ腕を首に廻し、5/6人の警官が上から覆い被さるすさまじさ。アマチュアヴィデオが一部始終を明らかにしているので、暴力デモは必至だろう。このヴィデオは日本でも放映されるとおもう。