安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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原油安60ドル/barrel
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( 2014年 12月 2日 火曜日


先ずこの件:
●台湾行政院(内閣)総辞職
国民党はツキが落ちた。内閣総辞職といっても、新内閣がうまく機能するワケないでしょうが。馬英九は党主席を辞任、総統として残る1年半の任期はレームダック。さような環境で人事を一新、16年の総統選挙に体制を整えるという狙いがあっての総辞職と言う。聴くからにアホらしい。

●予想したくなかった原油暴落
それがし、当地石油業界の端くれにいたが、こんな暴落がおこるとはついぞ思い浮かばなかった。北海石油で国起こしをしているノルウェーの住人ですから、ここ数日ヒヤヒヤでありました。

先のウイーンOPEC会議では事前に大概の加盟国が減産に応じる様子だったので、80ドルくらいで落ち着くかな、とエキスパートの意見を鵜呑みにした。なんどエキスパートとやらに騙されても懲りずに、また騙されてしまった。

●肉を切らせて骨を切る
これはサウジのヌアイミ資源相が強硬にOPEC生産量の不変(30mill.barrels a day)を主張し、他のメンバー国はサウジに同意したためである。ナイジェリアもヴェネズエラもインドネシアも、メンバー国はサウジに楯突けないですから。

ヌアイミは原油安で痛手を受けても、米のシェールガスに一撃、瀕死の深手を負わせておかねば、我等OPEC産油国に将来はない!などと言いまくったという。会議を終えて出てきたヌアイミは上機嫌で無言。何処やらの代表がひとことNO CHANGE!

ま、サウジやクエートなど、井戸掘れば出る設備が安上がりですむ中東の産油国は50ドルでも左手にうちわの利益がある。サウジは原油安競争に引き込んで、他の産油国に挑戦。肉を切らせて骨を切る作戦だ。確かに米石油業界の投資、特にシェールガスへの投資が減ってはいるが、42$/barrelで採算が取れるので耐久力はある。メキシコ湾などオフショー活動は赤字が出るかも。一方、ガソリン安になれば日本同様国内市場や輸出にメリットが多い。

●頭を抱える産油国
原油相場は2008年の金融危機いらい最悪の下落だが、骨を切られるのは米ではなくて、国家経済の80%を石油輸出が占めるナイジェリアを筆頭に、60%はありそうなヴェネズエラ、45%のロシアなどが経済の屋台骨をくずされる。

アリとキリギリスに譬えれば、アリのロシアは保有する外貨を取り崩して凌げるが、ナイジェリアのようなキリギリスでは明日から生活が・・いえ利益占有の政府幹部は海外預金があり、国民はもともと恩恵を受けていない。(次回は産油国ノルウェーを例に石油安の影響について)






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