安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ポリオワクチンを妨害するタリバン
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( 2014年 11月 27日 木曜日


●ポリオ予防医療チームにテロ
26日への木曜日、クエッタの近くでポリオ(小児まひ)ワクチンのキャンペーンを行っている医療チームの車に、バイクに乗ったタリバン武装勢力が銃撃、3人の女性スタッフと男性運転手を射殺した。医療チームはエスコートしてくれるポリスと合いに行く途中だったというから、ホンの隙を狙われてしまった。

パキスタンはいまポリオ大国、今年は世界で300人のポリオ発生があったが、そのうち265人がパキスタンの幼児である。実に世界の80%をパキスタン一国というから驚く。マララさん、この方面でも活躍してください。

●撲滅に成功したインド
ひと頃はお隣のインドが世界最多のポリオ流行国だったが、今年はゼロです。いまでは経口生ワクチンでOK、口にスポイドでワクチンをプチュッとやるだけで絶大な予防効果があり、いわば尤も撲滅容易な伝染病なのに、パキスタンでは何故できないのか。西欧のものは、医薬でもなんでもスパイと疑うイスラム原理主義のタリバンが、ポリオワクチンは生殖不能にすると信じて医療チームを殺害するのである。

2年ほど前に医療チームの45人がタリバンに殺された身震いする事件があった。そのためタリバンのいる地域へのワクチン接種が遅れがちで、その間に感染が増えたとみられ、シリア、イスラエル、エジプト。中国が感染国になっている。

余談:バルチスタン地区のクエッタはアフガニスタン国境に近いところ、ISIS系になったタリバン勢力の本場である。アフガニスタンがタリバンに占領されていたころ、カルザイはここで木賃宿を経営していた。タリバンに通じ、米のタリバン掃討に抗って話し合いを優先、した誘因である。

●米で流行するエンテロウイルス
日本など、先進国では撲滅され、喜ばしいのだが、最近、亜流といわれるエンテロウイルス(EV)がアメリカで流行して大問題となっている。ヨーロッパにはないはずなのだが、当地オスロでこのエンテロウイルスD68と診断された児童の患者が十数人入院中、話題になっている。このウイルスもポリオと同じように発生すると治療法がなく、免疫力を高めることと対症療法しかないそうだ。呼吸困難な患者には気管にチューブを首から挿入している映像があった。

風邪の症状に似ているため、つい診断がおくれたり医師も最初判らなかったりするので第一症例はなかなか発見が困難といわれる。日本での例は聞かないが、幸い日本では一度新病の患者が出れば大きく報道され、注目を集めるので周知が早い。(了)






Pnorama Box制作委員会


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