●あいそをつかしたヘーゲル国防長官
チャック・ヘーゲル長官の辞任については、NYタイムスが24日のオバマ発表の前日に「WHのプレッシャーで辞表を促された」と書いている。更迭といえるが、それがしの勘ぐるところヘーゲルの方から辞任の意志を固めたのではないか。
オバマは二期目に選んだ共和党のベトナム戦争の経験を持ち、身体に戦傷をもつChck Hagelを国防長官に据え、太っ腹なところを見せた積もりだったが、ヘーゲルの対テロ戦をめぐって、オバマは優柔不断。ずるずるとシリア、アフガニスタンにテロリストの増殖を許し、ただの一度もヘーゲル国防長官の進言を採用しなかったのではないか。
シリア派兵でまずヘーゲルの要請を拒否。ISIS(イスラム国)が勃興するや、ヘーゲルは米に最大の脅威となると大統領に武力行使を何度も進言したが、オバマは良い返事をせず握りつぶすばかり。意見の対立なんて互角の話し合いじゃない。国防のデシジョン・プロセスがWH主導であることが、オバマの国防長官が長続きしない原因だ。ブッシュから引き継いだゲーツ、パネッタが去り、今またヘーゲルが去った。
いよいよISISを放置できなくなってから、ライス補佐官の言を聞いてISIS拠点の空爆に踏みきり、後シリアにも空爆を拡大した。顧問軍人を数千人ほどアフガニスタンに派遣したが戦闘兵ではない。2年足らずで国防長官を辞任した理由である。ただし、共和党優勢の両院議会で承認される後任候補者選びは難しい。後任がきまるまでヘーゲルが続投、3ヵ月くらい長引く可能性がある。
●オバマとライスのへなちょこコンビ
この決断に、ヘーゲルの意見を聞かず、あのオバマお気に入りのライスと相談して決めるのだから。ヘーゲルはホゾを噛むおもいであっただろう。このスーザン・ライスは大学でアフリカを専攻していて、アジア。ヨーロッパに関心が薄い。オバマの選挙戦チームで活躍し、オバマの意見主張を鸚鵡のように真似る女性。ご褒美にWH入りし、国連大使から安保担当補佐官になったオバマの腰巾着である。独断すると同じ博士でもコンドリーザ・ライスとは月とスッポンである。
●キレイごとで別れるアメリカ式
でもなんですね、公表に並んだオバマ、ヘーゲル、バイデンの3者、肩を抱き合い互いに相手を誉める。中韓に欠けるおとなの挨拶をする。でそのあと回顧録なんか出版して政権批判をぶちまけるのですな。ゲーツとパネッタが書いたように。紳士的に別れたあとで斬りつけるのがアメリカ式。
それにつけても副大統領のバイデンと国務長官のケリーを外交に駆使し、国防長官をないがしろにしてきたオバマのツケが国民の支持凋落をもたらした。(了)