本題の前に:全米を襲った寒波による死者が17人にたっした。そこへもってきて、平温にもどって雨になるとの予報。屋根には雪が1〜2m 積もってるんであります。雪下ろしができていない家の屋根は雨を含んで数十トンの重さになる。屋根一面に風呂用の水槽が二重に並べているようなもの、押しつぶされる家や、ドームの屋根、簡易スーパーの平屋根などが落ちた事故はよくありました。他人事ながら気になる雪と雨と洪水。
●不法移救済策
と、名付ければ人道的で崇高な政策とみえますが、「不法滞在者も滞在OK」なんてのは法律無視じゃないのか。どうもすっきりしない。
米の不法滞在者は150万人くらいといわれる。米国で生まれたベビーは例外無くアメリカ国籍を得る。すると親が不法移民であろうとそこは人道的にそうむげに国外撤去できない。未成年の米国籍者を追い出せば人権問題です。
それで近年はこの盲点をついて子供だけ米に密入国させ、州政府は小学校へ就学させねばならず、いつしか米国籍を貰う。それを待って親が米に入って不法滞在を続けるというプロセスが定着した。
東岸にある中国人マタニティー・ホテルもそうで、米で出産すると子は自動的に米国籍を得る。その子が適当な年令になると米の学校に入れ、仕送りするか、親も親権をたてに移住してくる。
事態は違うが、中国から賄賂を持ってカナダに逃げた裸官のうち、中国の要請に応えて引き渡したのは中国籍の小物で、カナダ企業に多額の投資をしてカナダに国籍を取得した大物は如何ともできない。
●法的用不可、増えすぎた不法移民
それでも少ないうちは法に沿って不法滞在は送還できるが、100万代になると手遅れだ。とはいえオバマの改革案が最良かと問えば、Yesは不法移民だけになりかねない。
さて、オバマの改革は、米国に不法入国後5年以上在住し、米国で生まれた子どものいる人々のほぼ全てが、少なくとも3年間、就労許可(税金を払って)を申請できるようになる。その間に堂々と市民権を申請できるわけだ。その数約500万人といわれる。
3年後にオバマさんは大統領ではないからって、次の大統領に決断を預けてしまって・・これも政治的だな。やり方が汚いとか、憲法違反と文句言ってもはじまらない。衆院解散選挙というのも首相の持つExecutive actionであり、議員はガタガタ言わずに師走の選挙戦に打ち込むがよろしい。
●なぜ今か
阿部首相のなぜいま解散かはさておき、オバマの場合なぜ今か、を考えると実にこすからい手口なのである。やるなら2年前に二期がはじまったときからいつでもソロアクションができたのに、中間選挙まではマイナスになるので黙っていた。選挙に大敗し、共和党に両院を制覇されたいま、議会で通せる微かな光もない。こうなるともう失うものは無い。今こそやりたいことをやっておこうと言う政治的決断だ。これで次期大統領選挙には、民主党候補が不法移民の票をわしづかみに・・という魂胆だ。
●旧約を引用
火曜日の移民演説のなかでオバマ曰く:
"Scripture tells us(聖書は語る) we shall not oppress a stranger for we know the heart of a stranger ム we were strangers once, too."
旧約聖書「出エジプト記Exodus」22.21からの引用で、最後の節はstrrangers in the land of Egyptですが日本語聖書(1955改訳判)では:
『あなたは寄留の他国人を苦しめてはならない。またこれをしいたげてはならない。あなたがたも、かつて、エジプトの国で寄留の他国人であったからである。』と訳されている。
で、まあこれに続く文は過激なのですが、聖書には一文そこだけ取り出せばまことに有効な言葉があるので、人を納得させるのに米の政治家はよく利用する。オバマは移民排斥に厳しい南部の草の根信仰層を意識して使ったのであろう。注視される政治家はなにもかも、食い物から箸の上げ下ろしまで政治的になるらしい。(了)