安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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キャメロン怒る
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( 2014年 10月 25日 土曜日


●EUが英に17億ユーロ追加支払を要求
EU加盟28カ国はそれぞれの経済力に合わせて、EU予算に貢献する取り決めがある。ギリシャやイタリアのように払えない国はECB欧州中央銀行から融資を受けて生き長らえている。それで年末になると、その年の経済成長を査定し、落ち込んだ国は払戻金があり、伸びた国には追加の金額が要請される。年度末調整ですから、12月1日が現金払い込みの期限となる。

それで、急にイギリスは17億_の追加貢献を要求された。これはEU-2014年度予算に既に支払った86億払った上に追加だ。キャメロンはカンカンに怒りましたな。これほど公的にアングリーになったのは初めて見たが、憤懣やるかたなく言いっぱなしで、サッと演壇から消えた。12月1日までに払へと言われたって、そりゃ無茶な、今年度の政府予算を無視して拙子もムチャナとはおもうが、キャメロンさんは「払わない」とは言わなかった。

●怒ったキャメロン
値切って来年の貢献に上乗せするのでは、とまあEUは心配していない様です。しかしフランスもドイツも若干だが払い戻しを受けるとは、キャメロンさんが癪に障るのはわかります。昨今のEUは経済が大げさに言えば危機的状況にある。追加貢献を言われたのはイギリスとオランダ。欧州で経済予測を上回ったのはこの2国だけという現実が知れ渡り、大英帝国の将・キャメロンの本心は悪くないだろう。ギリシャ、イタリア、キプロスもなんとか上向いて来たのでシンボル的な追徴金がきまったが、これら東地中海国が最低なのに変わりない。

●あなうれしや、バローゾ引退
EUのバローゾ(Jose Manuel Barroso)委員長シレっとして各国承認済みの例年の年度末調整で、言う筋合でない。予算の各国振り分けは独立機関が行う(のでワシャ知らん)と他人事のよう。この男、キレイごとばかりならべてEU の主みたいに出しゃばって来たが、今年退任して優雅な退職金と年金がつくポルトガル人に戻る。とにかくEU政治舞台から縁が切れるので、ほっとした。

●EUよ、もう時間がない
今週のEconomist誌は『世界最大の経済問題』というタイトルでEUの深い経済低迷が巻頭記事。今のところはインフレ率0.3%だが、来年はさらに下がる。日本は10数年でデフレを克服したが、単一民族の日本であればこそ可能なこと。各国入り乱れての欧州でデフレになると回復は日本よりはるかに長引く。加えてドイツは金融緩和に民族的な反意があり不道徳と思っているので、欧州銀行は思い切った景気対策が取れない。EU予算が欠乏し……EUはポピュリストの政治家が選ばれる。遅かれ早かれユーロ通貨は崩壊するだろう。とまあ厳しい見方。

結びは、『And once deflation has an economy in its jaws, it is very hard to shake off. Europeユs leaders are running out of time. 一度デフレ経済がアゴに取り付いたら、振り払うのは容易でない、EUリーダーにはもう時間がない』。(了)






Pnorama Box制作委員会


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