安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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世襲について
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( 2014年 10月 20日 月曜日


●米景気不安で円高に
小渕優子経産相が仕事のひとつもできないうちに辞任に追い込まれた。相も代らぬ閣僚のスキャンダル探しで政府の足を引っ張るのが野党のお仕事か。にしても旧い話をよく探してくるもんだ。もうすこし政治政策の本分にエネルギーを傾倒して頂きたい。

政治家の世襲問題を問う世論が出ては消え、勤め人の給料と家計支出みたいに繰り返される。繰り返されるのは当然で、おもうにわが日本国の有りようが、そもそも世襲なのです。その頂点こそは万世一系たる天皇制である。それがしはなんら悪しき伝統とはおもわない。男系に限るなんてのは本来の天皇制の必須条件ではなかった。女系天皇に異議だてするのは我侭、言論界のお偉方に多数いるが、ダダこねる小僧にひとしい。第二子に男子が誕生するや、スイと議論から引く……我侭勝手、理がどこにもない。それがしは長子継承が最良、女性天皇またよしである。女性議員の増加に波打てば猶けっこう。

●老舗の世襲商店に弊害なし
国民それぞれ出自があり、島国でるため、家族一族の絆は大陸よりも強かった。創業数百年におよぶシニセは各地にいくらでもある。ま、元祖や本家、本舗や老舗などかなりいい加減だがどれも世襲の主人や女将がオウナーである。奈良漬けでも酒屋でも、うまくない各地の名物屋でも世襲でよろしい。顧客にも都合がよろしい。

●芸事の世襲は持ちつ持たれつ
お茶、お花、お琴などはお稽事のうち、日本舞踊や長唄、端唄も芸事であって中には芸術家を気取るバカもいるが、家元制に弊害があるわけではない。やや困るのは染め付け模様や装飾的な日本画に世襲がいること、焼き物や工芸家などもそうで、例外はあろうが才能がなくてもできる技能である。よって世襲でかまわないが、よそ者を排除し芸術家気取りする弊害はある。

●世襲制の大弊害は歌舞伎界
明らかに弊害があるのが能や歌舞伎の役者、概ね、型からはいる芸に才能はいらない。ただ小さい頃から訓練され、周囲から嘱望されると舞い上がり、また取り巻きがチヤホヤ、メディアやファンがよってたかって大俳優におしあげてしまう。それがしは能や歌舞伎のスターシステムが嫌いで、観客席に自分を置くことが耐えられない。お金になる伝統芸能ほど排他的になり、外部から入門した者はイジメに耐えて歌舞伎舞台を踏めたところで、脇役止まりだ。

●生業と世襲の可能性
わかりやすく言えばノーベル賞に世襲はない。まことの芸術の世界、作曲家や指揮者に兄弟はいるが世襲は皆無。一代の画家にも世襲はない。随筆くらいなら親子二代もいらっしゃるが、世襲の一流小説家は聞いたことがない。

一方、資金と地盤がものをいう政治家は何代も世襲がきく。本人の能力がよほど不出来でないかぎり、右見て左見て政界遊泳できてしまうのが政治家である。日本に限らず、先進国、開発途上国でこでもそうだ。当地ノルウェーにも政治家ダイナスティーがある。基本的には弊害が多いが、害虫のような議員が多い中、世襲議員だけを弊害とはいえないだろう。それがしは政界の世襲をあまり気にかけない。個人の資質における問題と思っている。

●世紀の課題−格差の世襲
最大の問題は社会格差が広がる傾向にあること。貧富の差が愈々広がり、いわゆる格差の世襲が現実となっていることは解決すべき今世紀最大の課題である。現実を見れば貧富が頭の良さにもかかわらず環境が学力に影響し、学歴を定め、就職に残酷となる。親も子もつらい。はっきり不平等である。年金に格差ができ、老後の格差は倍加する。世が世なら格差は革命を呼び覚まし、下克上を来らせたのではなかったか。社会政策では追っ付かないところまで来てしまった人民の階層を、せめてこれ以上悪化しない妙手はあるだろうか。(了)






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