安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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デング熱
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( 2014年 9月 5日 金曜日


●代々木公園にデングウイルス
デング熱感染者の居住地は北海道から愛媛まで跨がっているが、計55人(9月4日)の感染者全員が代々木公園でウイルスを保有する蚊に刺されている。デング熱のような熱帯病が東京にもやってきたとは。まあしかし一カ所だけですから公園を封鎖して殺虫剤で撲滅は可能、事実、最初の感染を受け、都が殺虫剤を散布した場所で捕獲した蚊からはウイルスが検出されなかった。

封鎖された公園は樹木の多い方で、舗装されている競技場エリアは、ウイルス持ちの蚊はいないという。草や樹木のある公園では噴水があったり、落ち葉や剪定した小枝など堆肥として山積みしておくので、デング熱が発生した側の代々木公園もきっとそうでしょう、蚊の発生しやすい環境がある。

それがし、当地の自然科学博物館で働いていたとき、窓から隣接の植物園の園丁建物の横、一般には見えない所にウズ高く堆肥が積んであり、夜も明るい短い夏、小さい北欧の蚊が日陰になると堆肥の上を雲霞の如く漂うのを眺めていた。

代々木でウイルスを刺す蚊も、日中から活動するらしい。てっきり公園で夕涼みのカップルかと思いきや、そうとばかりではなかった。そして園内で生活する30人のホームレスさんたちに感染者がいないとは不思議だな。保菌者であっても免疫力が強く発病しないのかも。

●熱帯風土病がなぜ日本へ
と、これはそれがしの疑問である。もちろん都市の気温は地方より高く、地球温暖化による異常気象もあるが、どうやってデングウイルスが代々木公園のヤブ蚊に入ったのか、解る方法はないのかな。蚊の寿命は越年しないからといって見過ごさず、「デング熱に感染した蚊」の入国経路を明らかにしてほしいとおもう。

東南アジアや南アメリカほか、110カ国以上で5000万から1億人が感染している。にもかかわらずあまり深刻でないのは感染者の8割が発病せず、死にいたることは滅多に無いからだろう。人から人へは感染しないため、これまで海外から帰ってデング熱を発症した人はニュースにならなかった。今回は初めての国内感染で大きなニュースになったが、本来インフルエンザの方がはるかに要注意である。

●ウンチク
デング熱(Dengue fever), デングウイルスは略してDNGVとよばれる。DengueはDengeeデンギーと発音され、米メディアではデンギー・フィヴァーとか、デンギー・ヴァイラスとしゃべっている。
Dengueのスペルからスペイン語とわかるが、語源はスワヒリ語Ka dinga pepo. に由来する。200年くらい前アフリカからカリブ海地域にこの熱病が渡り、キューバでスペイン語式にDengueと呼ばれるようになった。プエトリコの医師がこの疾患をquebranta huesos_骨をへし折る)ような痛みと表現、それでいまも病名となったデング熱をbreak-bone feverとよぶ国がある。(了)






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