安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
墜落現場で略奪
------------------------------------------
( 2014年 8月 3日 日曜日


●略奪
ウクライナ東部に墜落したマレーシア機の現場では、反政府派の兵士や付近の民間人が散乱した約三百人の犠牲者から略奪行為が行われた。貴金属や現金はもちろん、パスポート、クレジットカードなど、売れそうな遺留品は公的な立ち入り禁止と調査がはじまるまで3日ほどあったから、徒党をくんで荒し回ったにちがいない。

事故の犠牲者からなんてことを!現金を忘れても盗まれることがめったにない日本国の人間には信じられないことだが、事故現場の略奪は、起きない国の方が少ない。現場の状況に大きく左右されるが、スコットランド、ロッカビーの住宅地に墜落炎上したパンナム機では住民から略奪はいっさいなかった。親露派が標榜する「ドネツク自治共和国」がまだまだ機能していないことを印象づけた。無頼の衆である。

先進国でも社会的デモから暴動による放火や商店破壊に発展し、略奪が状態化、中国で反日デモが渦巻いたときは松下はじめ日本の、進出企業、現地工場が焼き討ちされ、略奪蹂躙された。そういった例はザラニあるが、さて時代を少し遡れば人類普遍の皇位といえるのではないか。

●戦場荒らし
日本でも戦国時代には戦場荒らしを本職にする野武士の集団があり、戦いに勝利した側が本格的に戦利品探しをする前のどさくさに、死体から兜や甲冑を剥がし、カネメの物を盗み取った。野武士がいないときは近隣の農民がるのである。深手を追って敗走する武士は村人の恰好の餌食として竹槍で殺され身ぐるみはがされる。死体から金品を略奪するよりまだ始末が悪い。

●衣食足りて礼節を知る
この諺は、孝子の言葉ではなくて、ある中国宰相の言行録にある「倉廩(そうりん)実(み)ちて則ち礼節を知り、衣食足りて則ち栄辱(えいじょく)を知る」から合成したものらしいが、ある程度はそうだろう。しかし、本来の中国では不正蓄財で海外に資産を移し子女を海外に住まわせ、自分はいつでも逃げだせる衣食足りすぎた腐敗官僚「裸官」がいっぱい。礼節を知るのは国情と本人のモラルに由ると言い換えた方がよさそうだ。

それにしても、神戸地震のときも、東日本大震災のときも略奪がなかった。空き家になった商店でお金を置いて品物を持って出る人、開店したスーパーに整然と行列する人の姿が印象ぶかい。衣食足りなくても礼節が生きている日本を、つくづく良い国だと誇りにおもう。(了)






Pnorama Box制作委員会


HOMEへ戻る