安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
イラクのジレンマ
------------------------------------------
( 2014年 6月 19日 木曜日


● クルドが漁夫の利
イラクは硬直状態、ISIS/ILICがクルドのモスル、サッダムのキルクークを抑えて、イラクの大部分の油田を分捕ったが、所詮は戦争と、人質で資金を得る過激派に、石油ビジネスはできない。そうすると北部のクルド族がビジネスを引き受けて漁父の利をえた。しかし、クルド人の多くがトルコにいるわけで、クルドを生かすも殺すもトルコの首相エルドガンの手に握られている。

いまや、内政不安定で盤石ではなくなったエルドガンにクルドから石油を献上させて、トルコは息を吹き返したもよう。トルコ内のクルドたちも少数民族差別が緩やかになる。ということでバグダッドが蒙る被害は甚大である。いくら軍隊が圧倒的といっても実践はダメ。空爆できる強みはあるが、それとて不足しているため、米に空爆を要請している。

この要請は米−イラクの安保協定に基づいている。本来なら共に戦う責務があるはずだ。しかしオバマは考えあぐねて煮え切らない ♪爪を噛むのはよくなないわ♪ いったい何のための安全保証条約ですかいな、もう。こうなると日米安保も怪しいもので、「尖閣は日米安保の範囲」とオバマが言明しようと、あくまで仮定ですから。実際に尖閣で衝突があっても、米は空母を待機させるのがせいいっぱいでしょう。軍事介入はしません。

●アサドを有利にした米
このところ、共和党系の米メディアによるオバマ叩きが凄まじい。かならずしも米軍派遣を期待するのではなく、オバマ叩きで日頃のウップンばらしでしょう。ジレンマだ。ドローンで爆撃するにしろ、米が空爆するなら、アサドはより大っぴらに空爆できる。米がISISら外人部隊とスンニ過激派に空爆を実施するなら、アサドがISISに空爆を強化して何がわるという論理。シリアはもうどうにもならない。哀れ、犠牲者はいつも逃げられなかった民間の女生と子供である。

●マリキはイランと組む
それがしの予想に過ぎないが、イラクにスンニのカムバックがなれば、困るのはシーアのイランとサウジの王家である。そこで米が仇敵イランと協力してイラク反乱イスラム軍に対処するはなしが、まんざらデモなさそうである。とはいえイランの核兵器を認めることが条件になる協力には応じないだろう。ま、そこまで節操のないオバマでもあるまい。すると、シーアの独裁者になったマリキは米がだめならイランに泣きつくのではないか。

●追記
前回「レヴァントの戦い」の緻密な絵画について、それがしの勘違いがあり、失礼。てっきり大好きなあの絵だと思ってラルースの画家辞典をみると「アレキサンダーの戦い」でありました。ここに両方画像アップしておきます。


レヴァントの戦い。甲冑がスペイン軍で川のヨウな地中海を渡って来るのがオスマン・トルコ群だとおもう。よく見るとあまり上手で見なく、画家も有名ではない。


アルブレヒト・アルトドルファー「アレキサンダー大王の戦い。
Albrecht Altdorfer モThe battle of Alexanderモ 1596
ミュンヘンのピナコテークにあり。30年ほど前に一度実物をみました。あまり大きくない絵画でしたが、鳥瞰図をてがけていたそれがしにインセンチヴを与えてくれた想い出の絵画です。
海から全景まで蛇のようにうねる兵隊が克明にえがかれているのであります。
(了)






Pnorama Box制作委員会


HOMEへ戻る