安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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お花見
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( 2014年 4月 22日 火曜日


●猿沢の畔

まず先回コラムに触れた猿沢池の古柳です。水面に折れ曲がった幹が水中から突っかい棒で支えられ、新芽が吹き出ているあっぱれな古老の柳。

淡いピンクと濃いピンクが段彩になっている紅しだれ、公衆トイレの横にある風情が乙なもの。

●諸木野の桜
吉野の桜を見に行ったことがある。50年前いまの伴侶と一緒に電車で吉野駅へ、女高生の一団がチラチラ今の家内を見ておりました。外人が珍しい時代で、駅舎は倒れ掛かった木造で、駅のトイレはもちろん日本式、「大」をするとオツリが来る臭い木造りでした。あれ以来遠出して花見に言った事はない。先日桜専門の画家と一緒に、妹の案内で奈良県宇陀市榛原の辺鄙な村、「諸木野の桜」を見に行ってきました。全国の桜を題材にしている桜画家の文斉さんも見たことがないと言うので行った訳です。
桜自体は変哲もない大きめの桜ですが、上の田圃に水を入れて泥が落ちてから田植えまでの僅僅二三日の間だけ、張った水に映る対照がお見事なのであります。
諸木野の集落は山深く分け入り、突然開けた明るい里に数本の桜で迎えられます。典型的な過疎村、零細な段田圃で働いているのはどこも老夫婦だった。ここは伊勢本街道の途中にあり、昔はお伊勢参りで賑わったであろう場所です。道端でわが祖父を思い起こす朴訥な土地の老農と座り込んで昔話に聞き入りました。
特に標識もなく、村中の山際、農家の上にやや大きい一本桜が見えるものの、家の上に田圃があるなどと思えないので、教えて貰わなければ見過ごします。それがしたちが行った時は、田植えが終ったあとで、苗がでていて鏡ばりではありませんが水面にきれいに映えておりました。


村に咲いていた真紅の花、桜ではないが、この木なんでしょう。

●千本杉と千本桜
帰りに蕎麦屋さん(一如庵)で結構なお昼を食べたあと、料理人でオウナーさんが外にも良い所があると地図で説明してもらった名所のうち、高井の千本杉とカラトの寝石、内牧区民の森「千本桜」も三カ所へ。


一本の根株から十数本の杉がニョキニョキ、いずれ劣らぬ大木,手前に小さな鳥居を拵えて神木として祀られております。よじ上ってはなりませぬぞ。やはり旧伊勢街道の途上にあります。
カトラの寝石、カトラの大石(岩壁)などは、数万年前の室生火山爆発で噴出した玄武岩の岩塊や崩楽した転石でしょう。寝石は幅5m高さ1mほどの大石で苔むしていた



すごいですね、いけどもいけども満開の桜のみ、他種の樹木がまったくないという純粋の若桜の林です。宇陀では仏隆寺の先年桜が有名ですが、ここも素晴らしい。掃除のおばさん以外、人影はほとんどない。独り占めの桜林でありました。樹林の上の展望台に登ると地元のひとが詠んだ句標が……それがしには見えなかったが、明石大橋が望めるらしい。(了)






Pnorama Box制作委員会


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