●日程通りのクリミアと
クリミアはウクライナ軍が去ったことで独立とロシア併合が完結した。戦車とロシア兵の威嚇というけれど、直接ウクライナ兵と対峙したのはクリミアの自警団、親ロシアのゴロツキどもだった。しかしこの程度は避けらえない、死人がひとりもでなかったことは、ロシア兵の絶対優勢もあったが、住民の大半80%が芯から親ロシアだから、キエフがEUが、米がどうこうできる環境ではない。これはまったく日程に沿ったプーチンの政治である。
●プーチンはマッチョだがヒットラーではない
エジプトの軍事政権はムスリム同胞団を違法とし、メンバー529人を暴動罪で死刑判決を下しデモすれば殺される恐慌政治である。翻ってプーチンはヒットラーではない。ま、ロシア政府批判のジャーナリストが百人くらい殺害されたり消えているのは事実だが、クリミアはいわば無血革命、ウクライナは死者百人を越す暴力革命であった。ロシアが座視すればクリミア+東部ドネツク周辺とウクライナ新政府側と血みどろの内戦になるところだ。それがしはプ−チンのロシア軍派遣が最悪の事態を救ったと疑わない。ロシアでプーチン支持が上昇、圧倒的人気を博するのは当然とおもう。
プーチンはヒットラーだ!というデモはウクライナ領内だけであって、世界中どこにもクリミアの事で反ロシアデモが起きていない。当地ではなにかあれば、大使館へ行く少数デモがあるのだが、今回はそれもない。答えは、西側市民は首脳たちのロシア非難に追従していない。The answer is blowining the wind. ロシアからふく風は暴風ではなかった。ワシントンの、ベルリンの、東京のロシア大使館へ抗議に集まったニュースを知らない。
●お愛想ができない大統領
プーチンの性格は、どこの首脳とあってもニコニコ如才のないポーズができず、無駄口、儀礼的お世辞が苦手である。だから国際会議では殆ど発言せず、社交パーティーが嫌い、議場でムッツリ退屈そうに座っているのです。選挙運動で全国をまわり、支持者に笑みを振りまき、おいしい言葉を連発するお国の政治家ではありませんから。中国の首脳はもっとムッツリ表情が読めず、チト気味悪い。
プーチンは愛想悪いが、首脳同士の会談では単刀直入に議題を討議、おそろしく詳細な議案の知識を頭に入れている。書類を抱えた側近に数値を聞くなんてことはない。というような西側首脳の印象ばなしをよく聞く。ということでプーチンには米欧お手上げなのですが、民主的な国際政治の概念ではとてもロシアの軍事介入たるや、許せる行いではない。認めれば自国の民主体制を否定する事になりますから、それは日本の国際理解にも反し安倍さんはオバマに同調します。日露関係が冷えても半分以上本気でロシア非難しているとおもう。
でもまあ経済制裁はアドバルーン的な範囲内で、各国はロシアと協力続行の部分は発表しませんから、制裁は時間的にも夏までの限定です。
それより、キエフのウクライナ政府が国庫空っぽで、ロシアへの借金やら膨大なガス燃料代は踏み倒しても立ち行かない。EU に直ちに融資を!迫っているが、色よい返事ばかりで具体的に1ミリも進展していないではないか。それがしはウクライナこそ3度目の大規模市民革命がおこるの事の方がより危惧している。(了)