安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ありがとう、首相靖国参拝(6最終回)
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( 2014年 1月 10日 金曜日


●国際メディアに過敏すぎる日本
歴史認識をめぐって中韓は、ことあるごとに日本は悔い改めよ!と、バカの一つ覚えを繰り返し世界に喧伝して回った。戦前の帝国侵略主義に戻る危険な国と大声を立てれば、世界のメディアは大見お出しでこたえる。スワ戦争がはじまるか、という派手なニュースに仕立てて媚を売る。定評ある良質紙・週間誌とて安倍晋三は旧守・戦前回帰を企む右翼、靖国神社をWar Shrineと呼ぶ西側理解はかわらない。

米は中韓の反応を見越して「失望」声明を出したわけではなく、おもうに事前通知があまりにも直前だったことと、参拝するなとの警告が無視されたケリー、国務省の気持ちを率直に「失望」の語で示したにすぎない。それ以上でも以下でもない声明だった。中韓に肩入れする意図はないものの、韓国は米も同じ考えと勝ち誇ったのである。

●靖国参拝、内外効果の推移
靖国に参拝することの意義を語ることはあっても(阿部首相の参拝後談話)、その効果を関与させるなどもってのほか、本義ではない。とことわって、効果の推移をみよう。

【韓国】:反日で支援を回復した朴槿恵、暴走するメディア⇒トーンダウンする朴槿恵、メディア12月以来ふたたび朴大統領に首脳会談を促す。

【中国】:政府の強い反日外交、反日声明。同時に国内問題が山積みのため反日デモを抑制。 ⇒ 国際メディアに修正主義者安倍日本を喧伝。反政府的反日のネット規制。国内問題が山積みのため

【米国:安倍晋三の信念を甘く見た「失望」と対話を促す声明。アジア・日本研究者の国務省寄り見解 ⇒ 日中韓世論の沸騰に驚き沈静をはかる。僅かだが非主流研究者から靖国の実体と日本擁護の論評がメディアに出る。

【欧州、東南ア世論】:2〜3日でメディアから殆ど消える。欧州各国は中国との経済交流を重視するが中国報道に懐疑的で中国人を蔑視する一般国民がたいへん多い。東南アジアでは華僑の多いシンガポールを除けて、概ね日本びいき。⇒ 特に南シナ海で中国と係争中のフィリピンは大統領が靖国擁護の声明を出す。一過性が明白になる。

【日本】:弱年層に反中・反韓を呼び起こす。「参拝賛成」と「隣国に配慮」がともに多数を占める。安倍支持率やや回復。⇒ 中国と韓国の対日姿勢を是認しない人があいかわらず多数だが、参拝を評価しない人が半数を超えた。

●あまねく遍在する愛国博物館
二つの世界大戦を経た欧州には、地方の小都市に戦争記念博物館がある。地元出身の戦没者慰霊碑なら寒村まで至る所にある。当地ノルウェーは戦火を交えずドイツに占領されたのであるが、個人のレジスタンス博物館が堂々と存在する。展示内容は靖国の遊就館(ゆうしゅうかん)同様に愛国的だ。イタリア、ドイツでも軍事博物館または陸海空各軍の名称で幾つも見られる。何故中韓ならよくて日本ではダメなのか。

それがしが最も憂慮するのは、外国の反応を気にして経済界はもちろん、市民のあいだに「配慮」、つまり次回は靖国参拝を控えるべきとする市民がふえたことだ。配慮で応えることは敗北宣言に等しい。

日本側から対話の扉を、閉めたことは無く、ドアはいつも開いている。互いに国交断絶を示唆したこともないのに、首脳会談がそれほど大事なのか? 

●4年途絶えた中・ノルウェー首脳会談
当地ノルウェーは劉暁波ノーベル平和賞以来、硬化した中国と3年間も首脳会談が行われない状況で、中国の経済制裁によって輸入はできても輸出が減退した。劉暁波が投獄されているうちは不可能だろう。審査と授与は独立委員会が行い、政府が決定に関与できないことを共産中国にいくら説明してもダメなのである。

こればっかりは相手が鉾を収めるのを待つしかない。右顧左眄して配慮とやら、今年の参拝を止めれば2度と首相が参拝できないばかりか、次は閣僚参拝も禁止へとエスカレートするだろう。

●絶やすな、首相の靖国参拝
首相の靖国参拝が恒例となり、しめやかに粛々と常態化するのが賢明だ。禍根を後代に残さないでほしい。隣国の挑発に踊らず、ヘイト言動で返さず、首相参拝に日本人の大多数が支持した初心を忘れないでほしいと切におもう。

そうすれば国際メディアはいずれ「穏やかで相手をたてる日本人が靖国で引かないのはなぜ」? その原因,慰霊の伝統がより深く報道されるだろう。

繰り返すが、神社仏閣は宗教法人であって国立ではない、分祀については遺族会の意向できまる。すると早くて10年、20年後に遺族会の代表たちが次世代を担うまで難しい。それまで中韓の首脳会談がなくてもよいではないか、次官レベル交渉で指示を緊密にすれば充分だ。(了)






Pnorama Box制作委員会


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