安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
ありがとう、首相靖国参拝(5)
------------------------------------------
( 2014年 1月 8日 水曜日


あれもう連載4回を過ぎましたか。先きを急ごう。そのまえに前日に(3)と(4)読み直して誤字その他を訂正/改訂しておきました。中・韓の非難はこのくらいにして、米の「失望」声明を考えよう。

●米の失望に過敏すぎる日本
東京のアメリカ大使館が安倍首相の靖国参拝のあった(2013 年12月26日)同日に短い声明文を出した。この連載第1回に和訳版全文を掲載したのでここでは省略する。その後日本側世論の強い反撥をうけて、国務省報道官、さらにWH報道官が沈静化に意図を説明したが、どのように言い換えようと米が何に失望したかは英文からも明々白々だ。『日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったこと』すなわち靖国参拝を指している。

しかし、日本の反応は過剰だ。 Be dissapointed の言い回しは欧州と米が、政治手法や首脳の言動に不満を表現する常套語である。NATOの兵派遣や組織改革で米と諍いがたえず、欧州メンバーのあいだでも往々意見が分かれる。そのたび、「失望した」、「遺憾deplorable」「あれはわが国のやり方ではないThatユs not our way of doing」などと強意のステップを用いるが、それで片方が折れることは無い。そういえばボルトンが国連大使のときはよく揉めましたな。

●失望したのはバイデン
去年10月、22プラス2のため来日した際、バイデンとケリーは連れ立って千鳥ヶ淵の戦没者墓苑を訪れ、日本式に献花した。まあ平服だがこれもモーニングを着用するのは日本くらいで強要してはいけません。彼ら米人は此所をアーリントン墓地の日本版と考えている。安倍首相以下日本の政治家に《ここならどこからも文句が出ませんよ》と行動で示し、Abeを説得できたと思った。祖先を祀る瑞穂の国の成り立ちを知らず解ろうともしない、特殊性を認めないのが国際政治のコツと自負している人たちである。

よりによってクリスマス休暇の最中に、靖国訪問だもの岸田外相がケネディ大使に説明してもう遅い。ケリーが失望いら立ったのはかくじつだ。ただ日中間の亀裂が広がるのを避けるため、WHと摺り合わせて東京大使館に言わせた。と、それがしは推量する。

●失意のキャロライン
ケネディ大使は安倍首相が靖国にいたちょうどそのころ、ケネディ一家は京都上賀茂神社にいた。クリスマス休暇というのに神社に出かけたアメリカ大使なんて前任者にいましたか? しかも上賀茂神社とは・・世界文化遺産なんてこととは関係なく葵祭で有名な由緒ある。大使は伊勢の「式年遷宮と関われてよかった」とコメントしたそうな。歴史的に賀茂神社と伊勢神宮が関係あるのか、それがしは知らないのだけれど、親日一所懸命ですな。

あれから2週間になろうとするのに、大使のツイッターには京都での家族写真に新年の挨拶を31日にアップしたまま、音沙汰なし。安倍参拝について一言のコメントも発していない。かなりショックのようですね。大使の職務からすれば、本国の意向に沿ってドシドシ失望なり、でも絆は硬く日米の友好関係は揺るがないなど発言したり、記者会見を開くのが務めとおもうが、どうしたのだろう。「神隠し」にあったみたい。ご本人も辛いだろう。滑り出し好調人気のある名門の大使をオバマや昵懇のケリーが庇っているとも考えられるが、それがしには皆目わからない。

●ケリー長官と尹炳世韓国外相の親密会見
新着情報です。ケリー長官は7日、韓国の尹炳世外相と会談、ケリーは共同記者会見で専ら米韓の最大テーマである北朝鮮に対する取り組みを話した。ようするに張成沢が処刑され、新指導体制にかわった北の情勢と核開発を話し合った。反して反日に凝り固まった尹外相は、ケリー長官と同意したとことわって歴史問題で和解を阻むと暗に日本を批判した:Secretary Kerry and I also recognized the growing uncertainty pervading Northeast Asia in recent times. In particular, I pointed out that historical issues stand in the way of reconciliation and cooperation in this region, and I emphasized the need for sincere actions

会見でわかったのだが、ケリーは45年前、ベトナム戦争に従軍して派遣された韓国軍と一緒に戦ったことを得意げに持ち出し、以来韓国との個人的友好関係を協調して締めくくった。すけすけのヨイショですが、韓国人は大喜びでしょうね。

しかし米韓関係は何度話し合っても、あたりまえだがシックリしない。朝鮮半島は人種言語を一にする一民族であり、おなじく戦後に分断された東西ドイツの人々は米ソ冷戦時に互いに戦争しようと考えなかった。さいわい北朝鮮のように東ドイツは独裁国家ではなかったが、南北コリアも戦後分断されるまで一国の朝鮮であった。互いに殺し合いはしたくない。多人種アメリカはつまるところ核を持つ北を懸念するあかの他人である。(続く)

記者会見の記録は米国務省のサイト www.state.gov/secretary/remarks/2014/01/219446.htm を参照






Pnorama Box制作委員会


HOMEへ戻る