安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ありがとう、首相靖国参拝(2)
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( 2013年 12月 30日 月曜日


13年と1ヵ月書き綴ってきたコラムも、今年最後になりました。先回に漏らした、なぜ首相の靖国参拝が諸外国から理解されないのか、想起するままに(年代などは資料に当って正確を期す)綴ります。

●靖国参拝の目的
英霊にむかって、『次には必ず仇をとってやっからな』なんて誓う人がおりますか? 靖国神社に参拝するということは鎮魂を祈り慰霊の誠を捧げることです。不戦の誓いを新たにすること、他意はない。

講和条約を達成した吉田茂は、さっそく靖国に詣で、英霊に日本は独立しましたと報告した。以後、歴代首相が参拝し、戦犯合祀がきまった1979年以降も中曽根氏が任期途中で中止する85年まで、首相たちの靖国参拝はニュースバリューのない恒例の行事であった。私事なのか公事なのか誰も問題にしなかったし、暗愚の大王と揶揄された鈴木善幸大勲位どのは3年余りの在任中に十一回も参拝してるが、与党も野党もメディアも問題にしなかった。

参拝したどの首相もお国の為に死んだ英霊を弔い、今日の平和を感謝し、不戦を誓うのである。それでも中韓は詭弁だと信じようとせず、諸外国もわざわざ近隣諸国と問題起こさないでくれと事なかれ主義から批判する。

●中曽根首相の軽率だった中止
40年の節目に中曽根首相が大々的に靖国参拝公式行事を打ち出すや、朝日新聞がA級戦犯合祀に関するキャンペ−ンを展開し、中国政府が注目して抗議した。で、ここで中曽根氏は参拝を中止した。中曽根氏は戦後体制を否定していたわけではない。意図しもはや戦後ではない新たな日本再建への出発をそのため、戦犯を分祀するとか、代替施設を検討したが、実現に至っていない。

跡知恵として中曽根氏は軽卒だったといえる。ロン、ヒロの気安い関係から、たとえ公式参拝を強行してもレーガン米政府は反対しなかったであろうに、残念だ。

●靖国神社の戦犯分祀は不可能
霊魂を移すのは家の引っ越しとは違う。人間は死ねば生前の名誉や罪科で区別せずに、聖人だろうと犯罪者だろうと慰霊するのが日本古来の伝統である。『況や悪人においておや』と説いた親鸞もまた古来伝統の中世における一系譜なのである。つまり分祀は国体に反する始業で神社側が拒否するのは当然です。国家権力が国体を左右することはできない・・日本人なら自然な感覚だが、なぜできないの?と素朴な疑問が外国から発せられる。一神教や儒教、共産主義国では、理解されない。

S. ハンティントンはキリスト教を基礎とする西洋文明(西欧・北米)、東方正教文明(ロシア・東欧)、イスラム文明、ヒンズー文明、儒教を要素とする中華文明(朝鮮、台湾、ベトナムなどを)、日本文明、カトリックと土着文化を基礎とするラテン・アメリカ文明。これにアフリカ文明(サハラ南部)を加え、7または8文明を挙げている。氏の説では世界中で日本国だけが独自の文明に孤立し、他は文明圏 なのである。日本人の歴史観、宗教観を解ってもらうのは言葉で努力しても困難なわけだ。思想的一貫性のない漢字文化圏や仏教圏は文化交流に役立っても紛争解決には無意味である。

●誤解された「戦後レジームからの脱却」
諸外国メディアは戦犯を祭る一点を捉えて、靖国神社をWar Shrineとよび、その場所に参拝することは即ち戦争を美化し、好戦的日本帝国への回帰を目論むことと定義、国際的固定観念として定着した。哀しいかな、海外殆どすべての靖国論評はここから出発する。しかも安倍晋三は戦後レジームからの脱却をスローガンにし、戦後体制をすべて否定しないまでも憲法、自衛隊、教育の見直し改正を政策にした。しかしこれも国際的に誤解をまねくスローガンで軽率であったといえる。

まず日本と遠い国々でも国際秩序・情勢に新たな波風たてないでくれ、との気持ちがある。アメリカは東京裁判をはじめ占領政策そのものが否定されるのであるから面白いハズがない。アベノミクス、日米安保協力など個々の政策では前政権と大違いに賛成だが、やはり国際的に浸透し同盟アメリカ製の太平洋戦争史が見直されるのは恐怖であろう。安倍晋三が右翼、歴史を修正主義者Revisionist, とこれまた国際固定観念になっている所以だ。

●戦勝者・米が書いた太平洋戦史
そして占領政策を統括した米の出発点はルーズベルト以来の親中反日思想が能底にあるため、日本軍の被害者中国と植民支配された韓国には、日本を非難するまことに都合の良い歴史なのである。中韓が執拗に反日非難する歴史問題の根っこは米の戦争者史観にある。実はそれと知らず日本人も学校でこの手の歴史教育を受け、日教組サヨク教師に教わったが、自虐的と考えたことは無い。しかしどうもシックリしないと経験上知っている高齢者は多く、戦前生まれはなおさらである。

もちろん敗戦の一億総懺悔を後生大事に、与えられた戦後史観を疑わない人も多く、政治家になった者も多数いる。中国ベッタリの小沢氏や鳩山氏の言動は、中国に媚びるというより本心だ。

●日本を敵視する中韓の異常
現在ではアメリカ人の大半が、日本とアジアの戦前戦後史が自分たちに都合の良いように書かれたことを疑うひとはいない。米人がやや見直したのはインデアンを殺戮した西部開拓の歴史くらい、メキシコや南米諸国へはまだまだである。英仏伊西が過去の植民地にした国家に謝罪しないのとおなじように、米はかつて蹂躙した国々に謝罪しない。謝罪無用を徹底すると、欧米を嫌悪する国は数々あれど、謝罪を要求する政府はなくなる。あれほど列強各国に蚕食された清を継承した中国がまるで何事も無かったように賠償や謝罪をおくびにも出さず、日本にのみ謝罪と自国の歴史観を押し付ける中韓はフツウではない。(続く)
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このテーマは重い。きょうは序についたところですが、前回を(一),本稿を(二)として、しばらく続けたいとおもいます。ではみなさま良いお年を!






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