安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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プーチンの裏技
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( 2013年 12月 22日 日曜日


私事から始めます。8月に入院を余儀なくされたそれがしの脳梗塞もどき(一過性脳虚血発作)ですが、先日退院後コントロールの呼び出しがあり、高齢者病棟で1時間ばかり女医さんの質問に答えてきました。後遺症はまったく認められず、このうえなく健康です。握力など、筋肉の力が強くて「トレーニング」してると思われた。犬の散歩だけなのに・・夏の間の薪造りが鍛錬になっている。ただ、脳梗塞防止の薬を1日に2種を朝晩呑むと副作用で体中がかゆくてたまらん。ので、それがしの医者(家庭医でなく個人医が当地のシステム、もちろん相性の悪い医者だと代えることも可)と相談して疑われる方をストップしたところ快癒した。そこで今回女医さんが一般的な保健外薬の「プラビックス」が適用されるよう申請してくれました。これだと副作用が無く1日1錠で済む。カンタンだ。

●ホドロコフスキーに恩赦
19日のプーチン、立ったままの記者会見で自身が投獄したホドロコフスキーに恩赦を与えると、聞いてる方が唖然とする発表である。なんでいまごろになって・・どっちみち来年8月に仮出所できる予定だった。控訴審で禁固8年に減刑されたのを2010年に刑期延長17年までに刑務所管区にある地裁に決定させたのはプーチンさんでしょうが。州や共和国など83の連邦構成主体の首長選について公選制を廃止し、大統領による任命制度に替えたプーチンだ。刑期延長も恩赦も、その気になれば朝飯前である。

●プーチンの裏技
だから突然に見えるのだが、前もって恩赦法を成立させ、手始めに反プーチンの曲をモスクワ大聖堂でがなり立てたったへたくそな「プッシーライオット」の二人を釈放した。だから今回もソチ冬期オリンピックをボイコットする米英独仏の欠席に配慮したプーチンの懐柔策とメディアの定説だが、それなら西側非難のも原因である同性愛者を認めるのがスジだろう。

人権配慮には違いないが、プッシーお嬢さんのバカさに西メディアはともかく誰も同情していないから釈放はプーチンのポーズだ、とそれがしは推量する。ホドロコフスキーについては病気のホドさんの母さんがどうのと優しさぶりで点稼ぎしたにすぎない。最大の理由は既に政界での反プーチン派は一掃され、ホドロコフスキーが対抗できる地盤はゼロ、ダシジャコ同然、政敵になり得ないからである。もう一つの理由はウクライナのヤヌコヴィッチを支援金と石油代値引きで買収したことで招く西側の反撥を消すためであろう。

●プーチンの見えないキンタマ
それにしてもプーチンの隠れた粛清の規模は、これ見よがしの金正恩の比ではない。一期目にエツィン派閣僚総入れ替え、ロシア一の大富豪ユコス石油のホドロコフスキーが、首相や閣僚に金銭を送って反プーチン派の結成に買収していると知るや、全閣僚を電撃的に辞任させた。反体制即ち人権派の記者は200人あまり殺害されているが犯人は殆ど全件うやむやである。人心掌握にも長けたプーチンがロシアメディアを全て国有化したのがなんとも憎々しい。そは「プーチンチンの見えないキンタマ」とぞ云ひにけり。

英国に脱出したかつてのオルガルヒら、メディア王でもあったベレゾフスキーは自宅の浴槽で不審な死を遂げ、サッカーのチェルシーを買収したアヴィッチはヴラモどうしているのか聞かず。またロシアスパイでロンドン警視庁に通じる二重スパイ・リトビネンコはKGB職員に放射性物質でじわじわと殺された。

●挫けないホドロコフスキー
国営企業の激払い下げで巨万を得た(オルガルヒ)彼のことについては5回ぐらいコラムに書いていて、拘束の獄中インタビューほか、プーチン政治に黙っていない。十年前と殆ど容貌も変らず精神力がある。だからこそプーチンが危険視したのであろう。釈放されるやヘリでドイツに直行、空港でドイツ元首相の出迎えを受けたことやドイツとの関係、病気治療に居たはずのお母さん(80)が帰国したいたので高級ホテルのスイートに陣取って母の再入国を待っていること、いずれ隠し財産のあるスイスに家族で住むだろうことなど、言うことも無いが、やっぱしあれだ…オルガルヒはべらぼうな税金どろぼう、脱税横領犯である。ロシア人の同情が少ないわけだ。(了)






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