安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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お母さんに優しくない日本
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( 2013年 12月 19日 木曜日


Save the Children が今年5月の「母の日」に発表した統計文書にState of the Worldユs Mothers 2013 (SOTWM)というのがある。日本語では「母の日レポート2013」と呼ばれ、毎年写真入りで母の日似合わせて発表されているが85pと分厚である。ユニセフの下部組織と思われがちだが、NYに本部を置く国連が承認する民間のNGOである。日本のメディアは海外メディアのコメントから抄訳して短い3面記事扱いですから、社会的にも政治的にも議論されるに至らない。わが国のお母さまがたよ、目に見える乳幼児の死亡率や、産院の質は優れているが、先進国といいながら日本でお母さんになる事情はそんなによくないのです。コブシをあげあげましょう。まず総合的なランク付けから:

●母親指標・トップは北欧
1位からフィンランド、スウェーデン、ノルウェー、アイスランドの順に北欧4カ国がしめた。デンマークはオランダに抜かれて6位でした。福祉的な話題ではいつも北欧勢が上位にくるのでおもしろくないが、どうしてかというと、この国連のランク付けに用いられる調査項目に、直接出産とはかんけいのない政治的要因として、「女性国会議員の割合」がある。この面では女性議員数と女性閣僚が半数にちかい北欧が有利、日本はまだまだ女性の政治進出が少なく、よくて10人に一人ぐらいか、安倍首相女性パワー活用といったって女性閣僚は二人っきりしかいません。ま、党四役に二人いるが。

●日本が低いのは女性の政治力
おもうに、政治家を志す女性が多くないこともあるが、むしろ女性候補者を敬遠する市民が多いのではないか。おかしとおもう。わが中・高校は県下トップクラスで、それがし席次は下であったが、席次トップ人望もトップはいずれも女生徒だった。かく有望な女性を専業主婦に止めおくのは国有資産をないがしろにすること、もったいないったらありゃしない。

それで日本は母親指標・176か国中30位に落っこちるのである。調査項目には保健、栄養、教育、経済と前記の政治面から詳細な調査を(正確さは保証しかねる)計量した結果である。
1)妊産婦死亡の生涯リスク
2)5歳未満児の死亡率
3)公教育の在籍年数
4)国民1人当たりの所得
5)女性議員の割合

5)を除けば日本はトップクラスなのですが、実はこの政治的に女性が弱いために、日本の母親は産休で、職場復帰で、労働市場で、犠牲を強いられている。日本はお母さんに冷たい国なのである。お母さん方よ、「内助の功」とおだてに乗ってはいけませんぞ、「内助の功」は心から来るのであって、タタで受容してはなりませぬ。
母親指標のワーストはアフリカ諸国でどうにもならない苦境だが、こと女性議員に関しては日本もこのワ−スト部類なのです。

●先進国で米が最悪の「出産初日死亡率」の理由
今年のレポートは新生児の死亡率に焦点があてられ、これを克服するのがアフリカの優先課題とされる。しかしこうした発展途上国を除いて、先進国中で比較するとアメリカがトップランクである。ぎょっとする数字であるが、先進国で増え続ける「未熟児」のせいで、お母さんに冷たいわけではない。セーブ・ザ・チルドレンに贈与する国ではアメリカが桁違いにダントツ、日本の5%に満たない人口のノルウェーが6位だ。ここでも日本はトップ10に遠く及ばず、出生に対する日本人の意識の低さが出生率の低下にあらわれている。

●グローバル・ファクト
_ 100万人の赤ちゃんが毎日死亡
_ 300万人の赤ちゃんが一ヵ月内に死亡
_ 75%の新生児死亡は初歩的な安価な治療で防げる

資料State of the World1dユs Mothers 2013: http://www.savethechildrenweb.org/SOWM-2013/
下の表は世界の母親指標ランク付け。日本と韓国が31位で分け合い、中国は68位でした。
右下の棒グラフは先進国における出生初日の死亡率を示す。
(了)






Pnorama Box制作委員会


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