昨日、マンデラ追悼式の不手際について書くつもりでいたのが、E.Parkerの訃報で急遽変更した。1日遅れて感想を書く。
●雨にたたられ空席だらけの会場
ソエトの追悼会場は、FNBFスタジアム。エミナンシーが居並ぶ天幕付きヒナ壇にちかい側の客席だけがまず満員だったが、3分の2を占める反対側客席がガラ空きである。実況でこの映像を見て愕然、晴天ならもう少し入ったかもしれないが、こんなプログラムじゃ来てもおもしろくないわと納得した。
オリンピックの開幕ショウを期待しているのではないが、主賓の弔辞ばかり続いては飽きる。観客が奮い立ったの『アフリカの息子』と紹介されたオバマの弔辞演説と最後に デスモンド・ツツ(聖公会ケープタウン大主教)が弔辞を例の調子で多きな身振りで話し、会衆を起立させて祝福を与えたとき。他の弔辞は内容がいくら良くても雨降りのなかでは大サッカー場は寒々しく、聞く耳を持続するのは難しい。ときどき弔辞のあいだに入るコーラスが少数で、競技場内でのマスパーフォーマンスはおろか、歌と踊りすらない。どういうプログラムだ。
●様々な醜態
1)ある人の弔辞の最中、遠くの観客席で勝手に楽器演奏がはじまり、司会者 (マンデラの孫)が演説者のマイクを取って、演奏は止めるように長々しい注意を与える。この司会者は顔がでかいぞ、ユーモアなく出過ぎる。
2)弔辞を述べるセレブの真横で手話をした男、斜め後ろでなく殆ど真横でだから出っぱなしの男だが、これがまっかな偽者だった。世界中の聾唖者から「さっぱりわからない」と苦情が殺到したが会場の主催者側に通じなかったのか、最後までこの男が出ずっぱりである。それがしも実況中に同じような動作ばかり繰り返すこの男の手話を訝っていた。手話にはもちろん国によって多少の違いがあるが、デタラメarbiteery.なんてことはあり得ない。なんでもコネで呼ばれた素人だという。
3)各国首長たちの座席位置がおおよその感じがする。それでデンマークのシュミット首相Helle Thoming-Schmidtが両隣になった殿方オバマとキャメロンを「自分撮り」して問題になった。どなたかの弔辞の最中にだ。しかしまあ、グッチ・シュミットと呼ばれるスタイルの首相である。退屈だったのだろう。デンマークでは単なるオモシロとしか考えないが、国際的には不謹慎の譏りを免れない。オバマはシュミットのカメラに手をそえて、ちゃらちゃら笑ってる場合じゃないぞ。ミシェルは知らんぷりして弔辞に聞き入っている。なお自分撮りを英語で 「セルフィー」Selfieとオックスフォード辞書に今年登録された由。
●ズマ大統領にブーイング
やはり南アフリカでまだまだ国際イベントを企画する能力がない。なぜイギリスのプロ業者の知恵を借りなかったのか、これは国葬委員長であるズマ大統領の失策である。この政権は経済政策、社会政策に進展がないだけではなく、すべてに能力がないと
しみじみ情けなく思う。ジェイコブ・ズマが弔辞に立ったとき、期せずして会場から一斉にブーイング。それまでズマが俯いたまま身じろぎもせず腰掛けていたのは、あれは深い悲しみではなくて肩身が狭かったからのだな。なにせ世界一の格差社会になってしまったのですから。
結論として、3万人(主催側の 観客数は45,000)は入っていたと思うが、雨天のだだっ広い屋根なし会場では閑散とみえる。
●首長たちの交差点
オバマとラウル・カストロがにこやかに握手を交し、マンデラ精神が具現したかのよう。ラウルは兄よりはるかに温和でもっと話したがっていた様子に好感がもてた。当地ノルウェーからは国王名代として皇太子夫妻とソルベルグ首相が参列した。首相はコンゴ首相のカビラに母国の囚人釈放を迫った。同囚の友人が自殺し、両国の検視で自殺だったのが、1年後殺人罪で起訴されたノルウェー人の件である。前の首相も尽力したが、どうなりますか。とにかく不明瞭な理由で逮捕勾留された同国人のために、首相が機会を捉えて取り上げるのはありがたい。
ジンバブエのムガベ が、西側首長から総スカンでしたな。マンデラ氏はロシアの体制とイスラエルの対パレスチナ国境壁を非難して止まなかった。プーチン、ナタニエフが欠席したのは彼らの矜持であろう。中国は糖獄中の劉暁波をひた隠しでしょうな。マンデラ氏は釈放後の活動でノーベル平和賞を受け、 リー・シャオボーは獄中で平和賞を貰って、未だ釈放されない状態である。
英米は突出して歴代前任首長が自信の意志で出席している。米はカーター、クリントン、ブッシュ。英からブラウン、(了)