安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ジョン・ベイナー下院議長
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( 2013年 10月 16日 水曜日


●懲りないベイナー、頑張るベイナー
14日、一旦はデフォルト回避されるに見えた上院の協議は、15日に下院議長・共和党のジョン・ベイナーが記者会見疲労と憮然の表情で "There have been no decisions about what exactly we will do,"と、上院の超党派協議が中断したことをうけて述べた。また先行き不透明に逆戻りである。

上院では民主党隱な総務のハリー・リードと相手方共和党(少数党院内総務)ミッチ・マコーネルとの超党派交渉で、中断した者の上院ではまとまりつつあったのである。

●まじめで親切な上院のリードとマコーネル
リードはモルモン教のまじめで親切な人、マコーネルは判事出身で上院議員のヴェテランだが、地味な人である。中国系の夫人がブッシュ政権で労働長官であったことが思い出される。G・ブッシュほど閣僚の人選に人種性別に無頓着な大統領はいない。そのブッシュ8年間の下地があったからこそ白人ではないオバマが次期大統領になりえたのである。で、いまや黒人ヒスパニウック、アジア系の閣僚が珍しくなくなったのであるが、レールを引いたのはブッシュだった。それがしの持論である。

●オバマの心理的イジメ
はなしを戻して、上院両党の親切リーダーをいいことに、オバマはベイマーのオバマケア修正とデフォルト回避案をセットにオバマとの協議を要請してきたが、オバマは絶対に応じない。下院は責任を果たさないとの非難は、『正義は我にあり』の石頭にして、オレの作った全国民への医療保険法にとやかく言う輩はすべて無視、心理的に追いつめる。そうやってズルズルきてしまった。オバマのベイナーいじめである。これはもう殺意にも似た執念である。

●ベイナーのデフォルト回避意志
その執念は効果をあげ、世論は政府機関の封鎖、債務上限のアップを認めないのは共和党ワルモノのせいだとの風潮である。しかしベイナーは、ほとほとよく頑張っていますね。本人が言い続ける絶対にデフォルトさせないとの意志ががんばりの源になっている。そして前回よりもう少し歩み寄った新案を出すという。骨子は:
1)現行の歳出水準で1月15日までの予算を当てる
2)債務上限を2月7日まで引き上げる
3)医療保険改革法(ケア)に関する変更を盛り込む

だが、リードは上院で見込みが無いと否定し、オバマはもちろん拒否する。でもベイナーはデフォルト回避のために暫定予算を提案しているのであって、いっさいの妥協を拒んでいるのはオバマではないか。それがしにはベイナーが民主主義の鑑(かがみ)に見える。

●私見、オバマケアは非アメリカ的
私見ですが、アメリカ人はスウェーデン人ではないし、アメリカ社会とスウェーデン社会の仕組みは異なる。今日の企業と金融優先のアメリカに、スウェーデンの社会保障制度を持ち込んで機能しますか? 予定どうり来年実施してみればわかる。財欠をきたし、それでも続けるなら際限のない債務上限に至る。アベノミクスばかりではないぞ、世界の迷惑だ。(了)






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