オバマの対シリア政策が右往左往して定まらないのは世界の常識になった。常識は素通りして………
●イエメンに跋扈するアルカイダ
リビアのベンガジ中心部で11日(水)の朝、リビア外務省の建物がカーボンブで爆破され、隣接するリビア中銀支店の建物も被害をうけ、通りがかりの民間人数名が窓ガラスの破片で負傷した。ベンガジでは1年前、米領事館が爆破されたことが
記憶になまなましい。さらにオバマ政権が当時のクリントン国務長官と言質を合わせてテロリストの爆破を、なかなかアルカイダの仕業と認めず、フセイン残党またはリビアの反政府ギャングの犯行と言い張った。結局、イエメンを本拠とするアルカイダ(AQAP)の犯行であることが明らかになったが、オバマは報復行動完遂しせず、ドローンで拠点爆撃を一度やったきり、法的措置もウヤムヤで遺族の不満がいまも燻る。
●オバマがアルカイダを過小評価する理由
そう言えば、オバマはシリアで活動するアルカイダを過小評価してやまない。なぜ頑固にアルカイダの仕業と認めなかった理由が、10日のThe WashintonTimesにあったので、孫引きしたい。冒頭部を私訳:
『昨秋の大統領選挙でオバマは、ビン・ラデンを発見殺害、アルカイダは「間引き」され縮小、逃走状態(decimated and on-the-runn )にあると見得をきった。だが、情報機関は、闊達な資金能力をもった新参テロの動きがイエメンに台頭、メンバーに米情報機関が把握している人物も少なくない。アルカイダの中央指導部と連絡を取り合っている。彼らはアメリカの安全に新たな脅威になる。とのCIA情報をオバマに12年夏以来耳打ちしてきたのである』
●CIA情報を握りつぶしたオバマ
イエメンがテロ組織の本拠となったことは、既知のニュースであったが、やっと2013年になってから日本を含め欧米の公館封鎖、旅行禁止措置がとられた。オバマは上がってくるCIA情報を隠して、アルカイダは ON THE RUN と選挙運動し、年次教書でも大得意な個所であった。すべてオバマの情報隠蔽による虚言であり、ベンガジ領事館が情報部の警告にも関わらず、爆破され、大使と3人の米人が
命を落とした。元を質せば再選のためにオバマがウソを言ったことにある。
そのことが尾を引いて今年1月のアルジェリア石油基地へのテロ襲撃を招き、日本人を含め多数の死傷者をだしたのではなかったか。
●安倍晋三の法螺
一般的に、海外に出ると口から出任せというか、ホラやハッタリが言いやすい。これは人種国籍に関わらずそういう風になるらしい。安倍晋三首相がブエノスアイレスで、東京五輪招致のプレゼンで『(英語で)まず確認しておきたい、ステーション(福島原子炉)はコントロールされています。(日本語で)結論から申し上げれば、全く問題無いということであります。港湾内の0.3Iの範囲内で完全にブロック(is detained)されています。東京は150キロ離れています。東京は昔もこれからもまったく安心です。』
●法螺が出やすい環境
この質疑応答での発言が、あちらでは成功したが日本人は事実ではないと知っている。批判がでるのは当然でしょう。ま、ブラジルの会見では放射能や原発の科学者や専門家が居るわけではない。そういう場では、ムヅカシイことは言わず、自信あふれる直裁な答えが最も有効だ。つまり、それがしの経験則では、気のいいよそ者には法螺(ほら)が通じるのですね。
「法螺」とは大げさに言うことで、「虚言」は人をあざむく、嘘つきのこと。オバマの場合、_も方便といった生優しい知恵ではない。安倍とオバマの言葉の語義は倫理的に異なる。
とはいえ、日本国首相が国際的に吹いた法螺は、国際約束である。そして誰よりも被災者のみなさまに安倍首相は法螺を実情にしてみせる義務がある。海に漏洩した放射能がハワイで観測された日には、なんて一抹の不安が消えない。(了)