安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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シリア毒ガス、エジプト軍独走
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( 2013年 8月 22日 木曜日


● シリア毒ガス
シリアの首都ダマスカス郊外で化学兵器が使われ、死者数千人に及ぶかも、殆どが女性子供という。史上最大の毒ガス兵器使用である。この事件をうけて国連安保理が緊急会合を開いたが、ロシアは反体制派のしわざと言いはり、政府側による攻撃だったという確証は西側にも無いのが痛し痒し。国連調査団が行くと政府側の
厚いもてなしでサンプル採取をして化学兵器の種類をとくていするくらいで、犯行側をあきおらかにするものではない。前回はサリンと特定した。今回も同種のものにちがいない。

毒ガス使用はアメリカが直截軍事行動に出る「レッドライン」を超えているのだが、反体制派が政治的と言うより暴力で対抗するゴロツキものが大多数、いくつものグループに別れ、反体制派の亡命組織「国民連合」は各派を連合できないでいる。支援したくても相手がゴロツキでは人道上支援に限られる。というわけで、シリアは2年以上も続く戦闘がいつ終るともしれず・・

●エジプト軍モルシ派を一掃する戦略
モルシが独裁者になるつつあるのを、2年前にムバラクを倒した連中がモルシ打倒の大デモを繰り返し、軍がモルシを拘束した。そもそもモルシのムスリム同胞団を最多数政党に冴えん挙で選んだのは、ムバラクを倒した同じ連中だ。民主化を求めておきながら、その結果が幾に食わないとまた倒す。軍は大衆に迎合する格好を見せて軍の立場を強くしていった。

エジプト軍はサダトの頃からロシア兵器を米の兵器に替えてゆき、いまに将軍たち、軍のトップは米士官学校で学んだ連中である。米にしては飼い犬に手を噛まれた状況で、一応合同軍事演習は中止したが、年間1ビリオンドルを越す軍事費援助は凍結していない。オバマはアラブに詳しく、実際アラビア語をかなり話せる。インドネシアのムスリム小学校へいっておりましたから。しかし何も出来ない。同胞団には最近アルカイダなど武装派テロ集団がくわわっており、コプト教会襲撃、フランシスコ派への攻撃が米の反感をかっている。キリスト教徒を攻撃する集団は西欧では悪の権化とまいなされていますから、軍の政治介入専横は許し難いが、かといってモルシ派を庇う気はない。

そこへ持ってきて、ムバラク釈放が決定した。一審で終審判決を受けながら、最高裁に相当するところで差し戻し再審理となり、その後モタモタしてるうちに勾留期間の2年が過ぎ、釈放だ。警備厳重な別荘で過ごす事になろう。現暫定政府にムバラクの残党がいるのでその根回しか、弁護士だけで保釈がとれるわけないだろう。

ムバラクを追放し、民主選挙で選ばれたモルシを倒したエジプトの民衆はいったい何だったのか。エジプト軍の構造改革は米に出来ない。エジプトのことはエジプト人に!かくていつ果てるとも無い国内擾乱がつづくだろう。スエズ封鎖でもやれば、EUと米が兵隊連れてのりこむのですが。

●ヒラリー・クリントンの明暗
米ではヒラリー・クリントンが次期大統領候補の先頭にたった。中国にはコワモテなので米中関係の緊張が高まるだろう。いいことであるが、かつてヒラリー国務長官どのは「従軍慰安婦comfort woman」との国務省報告書を「性の奴隷sex slave」と赤書きを入れた張本人、爾来米では「性の奴隷」と言う呼び名が公的呼称になり、韓国に勢いづかせたまことに聞く耳持たぬ非知日人なのである。ま、おそらく大統領にはなれまい。一方、JFケネディの娘キャロラインさんが駐日大使になる。オバマにしてはただの功労賞のつもりでも、非常によい選択とおもう。前任ルース大使も外交の素人で商売人だったが実に謙虚に務められた。なまじっかキャリアにご執心の外交官出身よりはるかによろしい。(了)






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