安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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夏休みの試練(3)
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( 2013年 8月 7日 水曜日


●疾走するライオン
ノルウェーと言う国は日本とおなじ位の面積があって人口が450万人,日本の4%も住んでいない。だもんで、この動物パークは自然の森や湖があって広さはあり余るほどある。放し飼いのライオンなどは二重柵の外から、トンネルの内から人間さまが観察する。何が起こったのか突然4-5頭のメスライオンが束になってパっと駆け出した。ほんの数秒でしたが、あんなに野生の躍動感あふれる疾走は初めて見た。いや感動ものですぞ。奈良の鹿が何かに驚いて一斉に高く走るのも見事だが、ライオネスはさすが百獣の女王ですからね、優雅かつ恐怖でした。「野生のエルザ」なんてマネは小心のそれがしには金輪際無理だ

●動物園は好きじゃない
少年の頃のそれがしは、動物園が大嫌いであった。狭い檻に閉じ込められ、生気のない眼、だらしのない寝そべり、かとおもうと日がな檻の端を歩き回る異常な行動、動物本来の姿でないことは子供にもわかる。そして極めつけはある冬、遊園地のチンパンジーの檻の前で、虚ろな目でボクをじっと見つめていたチンパンジーと眼があったとき、背筋がぞくっとした。あの哀しい眼は人間のそれとかわらない、こっちが泣きたいくらいだ。

爾来、動物園には近づかないことにしていた。家内に「行きたくない」と言ったのだが取り合って貰えない。Duty calls なのだ。しかしほ乳類、魚類、鳥類、この動物パークで飼われている動物たちは、他の国々の同類より恵まれているように見える。でもここでもチンパンジーたちは他の様々な猿とちがって飛んだりはねたりせず、見物客に背を向けて毛繕いしてましたな。

●ノルウェーの動物園に白熊はいない
それから、北極熊が住むスヴァルバードを国土に持つ本場なのに、ここに北極熊がいない。デンマークの動物園にはいるが、ノルウェーの「熊ランド」にいるのは大きなヒグマである。国民が白熊の生態をよく知っているから、また捕獲禁止動物なので他国の動物園で世代飼育された白熊を買うとなると反対運動でポシャルらしい。白熊が北極圏の国の動物園にいないことは倫理的で象徴的である。

●キャプテン・サーベルタン
呼び物は「キャプテン・サーベルタン」という宝探しの海賊演劇で、夏の一ヵ月毎夜11時から約2時間たっぷりの野外劇である。この劇用に海賊船や、海賊の城など大掛かりな設備が設えてあり、かれこれ10年くらい続いている。役者さんたちも代替わりしたという。一眠りしてから5歳の(4歳と書いていましたがアリエルはもう5歳でした)孫娘を私と家内で連れて行きました。全座席指定なのに30分前に着席するようにと注意書きがある。3万隻だった千人の円形野外劇場が満員でした。主役サーベルタンの衣裳と顔塗りした子の多いこと。敬老料金でも1万4千円だから安くはない。

歌と踊り、少年少女の恋などで味付けしたミュージカル。観客はストーリーも歌もよく知っている。いろいろスペクタクルな仕掛けがある。海賊船が燃えたり、大砲の轟音と客席まで熱風が来る火柱、空中に光が描き出される3D立体映像、海中から現われた幽霊が空中に上って行く演出など、こういう新しい趣向にオンチなそれがしは面白くもあり退屈である。アリエルには刺激が強すぎたのか、オシッコに立ったのを機にもう帰るというので半分くらい見たであろうか、12時過ぎにホテルに戻りました。

●彼我のちがい
さて、先日の『シナモンの町』はT.エグナーの書いた国内だけで超ロングランの童話をもとにしている。 小生が42年前、ベルゲン大学で外国人学生のためのノルウェー語コースを始めたとき、この童話が教材に使われていた。わが国なら世代として手塚治虫にあたるだろうが、傾向としては鈴木三重吉や宮沢賢治がウンと楽天的だったらとおもわせる。キャプテン・サーベルタンKapten Sabeltann(英語約タイトルはCaptain Sabertooth)もノルウェー製の子供向けミュージカルである。1900年の初演以来続いていて、私らが行った夜は満席だった。

果して日本でヂズニーランドやユニバーサルスタジオじゃなくて、純日本製の遊園地ランドやロングランの子供ミュージカルがあるのだろうか。TVドラマで満足できるから必要ないのだろうか。平家物語や宮本武蔵の演劇、ミュージカルが見たいと思う。(続く)






Pnorama Box制作委員会


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