-------- ----------------------------------
治安軍発砲、銃を交えた
------------------------------------------
( 2013年 7月 6日 土曜日 )
●礼拝のあとは市街戦へ
金曜礼拝のあと、モルシ支持派が結集をよびかけ、モルシを追放した市民デモ派と衝突の事態に。くるものがきた感じである。それより先、モルシ派の集会は治安軍の装甲車に阻まれていたが、突破をトライしたのだろうか、治安軍のなかの数人が発砲した。散弾のような小粒な弾丸だが当りどころが悪かったり、至近距離では殺傷力がある。 ●平和的政権移行の橋渡しにヒビこれまで小競り合いで亡くなった死傷者十数人は、治安軍の銃撃による者ではなかった。騒擾のあいだにおこる悲劇,死因はさまざまであった。ところが軍警察の発砲で3人の死者が出た、この意味は重大だ。クーデターではない方に傾いていた世界の論調が、ひっくり返るとアメリカは軍事援助の言い訳が成り立たない。そうなるとエジプトはロシアか中国の影響家にはいるやもしれません。 ●「草の根」運動の強みムスリム同胞団は「草の根」運動であって、サダトやムバラクができなかった貧民救済や、病人介護などに地道な活動を行ってきた。それだけに政治力は弱いが、民衆には人気がある。とくに地方に浸透している。これによく似た組織がパレスチナ、ガザ地区のハマスである。ハマスの武装派はテロリストだが、民衆への医療支援や、食料支援活動から、ガザでは絶大な勢力である。ムスリム同胞団もハマスもどちらも原理主義的であるためか西側から毛嫌いされている。 ●暴力化する、モルシ支持の過激派金曜の日が暮れてから、モルシ派とタヒール広場に終結していた反モルシの一部がついに衝突した。市街戦である。道路の敷石や火炎瓶が主体だが、銃撃も聴こえる。なんでもモルシ派に銃を用意した者がいたらしく、カイロで2名、全国各地の衝突で17人が死亡したという。 明らかに国民が2派に別れての市民戦争である。そこで神託気取りのシシ将軍であるが、反モルシ派を警護、モルシ派のムスリム同胞団を封じることが民政移行への要という方針である。両派衝突の現場に割って入った装甲車は、もっぱらモルシ派を蹴散らすことにあり、革命を自任する反モルシ派は嬉々としております。 ●エルバラダイ ? ¿それがしはちっとも面白くない。衝突はまだまだ続くだろう、選挙で民主的な連立政権ができる可能性より、生き残った同胞団やそのシンパ政党による連立政権のほうがあり得るようにおもう。つまり元の木阿弥だ。建国以来の独裁政治の後遺症はふつうの政治家が育成されなかったこと、人材が余りにも乏しい。 暫定政権を実質的に差配する首相にエルバラダイが最有力、米の了承も受けたようだ。IAEAのロクデなしであったこの人に市民衝突の終止ができますかいな。いくら人材がないといってもあんまりだ。今日暗澹とした気分である。(了)
|