●北極評議会とは
北極海に海岸線を持つ国々8カ国が集まって、北極海の研究開発、資源、環境、航路などを話し合う閣僚級会議がある。今年はスウェーデンのキルナでジョンケリー、ラヴロフ、など8カ国の外相が顔を合わせた。議題は永久オブザーバーに立候補している国の加入審査。
オブザーバーに立候補した国の次官級がきていたのだが、会議の傍聴が土壇場になって不許可、会議そのものは15日数時間で終わった。番狂わせがなかったので、書くのを後回しにしていたが、忘れる前に書いておく。
北極海を領海を持つ国が正式メンバー、内訳はノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランド、デンマーク(グリーンランドとフェロー諸島を代表)、ロシア、アメリカ、カナダである。
北極点の海底4000mにロシア国旗を「おれのもの」と言わんばかりにプーチンが立てたのは2007年のこと。北極海の領海画定、資源開発が行く先どうなるのか、関心が高まった。
領海画定はカナダ(センターライン)とロシア(セクターライン)の交渉が緒についていない。いわゆる「グレーゾーン」をそのままにして、とりあえず両国が
取り扱いをきょうぎすることになるだろう。
●永久オブザーバーに立候補した6国、日本は文句なしに是認
オブザーバーとして、EU、中国、日本、韓国、インド、シンガポールの六カ国が名乗りを上げた。一番問題なくすんなりOKなのは日本、北極研究の歴史があり、ノルウェー、ロシアと共同で北極北西航路の開設にあたり、カナダとも北極研究
で名交流がある。韓国の北極極地研究は日本より10年遅く、中国はごく最近である。熱帯のシンガポールやインドがなぜ参加したいのか、曰く因縁があるらしいがよくわからん。
●中国入る、EUは保留
事前の傾向は、ロシアは中国のオブザーバー地位に反対、ノルウェーもノーベル平和賞をLiu Xiaoboに与えて、中国が政府間交流をストップ、輸入を削ったり意地悪が続いているので反対、デンマークはノルウェーに味方して中国反対であった。カナダはEUに猛反対。EUがカナダ産アザラシ毛皮の輸入を禁止したからNo seal, No dealである。中国は評議会オブザーバーに入れないなら、考えがある(別の組織を設立)とか強く迫っていた。インドやシンガポールを入れて、世界No2の中国を排除するのは、しかしやっぱり筋が通らない。
結局プーチンは中国加盟にOKサインを出した。ノルウェーも中国の反ノルウェーを絡ませないことにした。というわけでEUのみ保留にして五カ国の永久オブザーバー地位が決まった。EUはカナダの要求する条件付でOKサイン。EUは一ヵ月ちょっとで受理されるよう見直し完了する予定。アメリカは態度不明だったが、中国を容認するようロシアに注文付けた様子。(了)