安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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テロリストの虚ろな眼
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( 2013年 4月 22日 月曜日


●オバマの自問
オバマ大統領はボストンテロの弟が逮捕された報告を受け、安堵した。ホっとしたが憂鬱だ。移民たちはアメリカに忠誠ではなかったか。わたしもアフリカ移民の片親があり、両親は離婚した。オレだって苦しかったが、この国を怨んだことなどない。誰でも、どんな人種でも努力次第でアメリカでは大統領になれるのだ。それなのになぜ、君たちを難民として受け入れたアメリカに、自由のアメリカにテロをしかけるのか。

と、まあオバマは斯様な疑問に煩悶したのではなかろうか。逮捕されたが、「なぜだ」に答えが出るまでは、モヤモヤが取れない。またさて答えに対処する方策があるかといえば、言葉や法規が無力であることは分り切っている。韓国学生によるバージニア工科大学乱射テロは記憶にあたらしい。

●チェチェンとチベット
近年のチェチェン共和国はプーチンのロシア化がすすんで、プーチンが送り込んだカディロフ首長が強権をふるい、イスラム系チェチェン人を押さえ込んでいる。その一方でプーチンの経済援助で、かつての廃墟の町はビルが林立し、兄弟の両親や多くのチェチェン人が国外に逃げた10年前と見た目では一変した。

ちょうどチベットが中国人を移入させ、いまや完全に中国化してしまったように。チベット系住民の大半はあきらめ,チベット語が話せない世代が増えている。米でおもうようにラクできなかった両親は、ロシア人が支配するチェチェンに戻った。長いものには巻かれよ、寄らば大樹の陰というわけだ。

しかしながら、チベットでも抵抗勢力があり、鬱屈が嵩じて過激化する。チェチェンでもおなじである。コーカサスの高い裏山に逃げた反政府派「森の人」はいまも存続している。銃撃戦で死んだ兄は一時帰国して「森の人」と接触したことにほぼ間違いない。

●輝いて見えるお兄ちゃん
小さい弟は6,7歳も年上の兄をスーパーマンと敬慕しただろう。兄に悦んでもらうためなら何だってするつもりだ。そうやって、云われるまま兄の後ろを、圧力鍋ボンブを背負い、銃をふところにマラソンゴール前に来た。静かにボンブを置いて立ち去った。爆発で怪我人や死者が出ると予見できないはずはない。だが、ものごとを社会的に見る眼を失なった虚ろな疎外者には、大騒ぎになればヤッターだ。それしか彼らの虚ろな眼には見えないのである。−終り−






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