●ワルガキ生徒を教える苦労
神奈川県の中学で、授業に遅れてきた男子生徒に早く教室に入るよう促した。当たり前だ。遅れてきてまだだらだらしている中学生はよほどワルにちがいない。しかも先生に「うるせい」「バカ」「ハゲ」と反抗するなど、暴力教室のサンプル校ではないか。
こういう生徒の暴言に黙って引き下がっては教師の名折れ、この先生はどの生徒が言ったか、「名乗り出ろ」と糾したそうだが、名乗り出る生徒なんていませんよね。「済みません」と謝罪して貰うだけ、絶対に手を挙げたりしないから、とやんわり諭したのだろうか、そうではなくて、とにかく誰が言ったか突き止めたくて先生は怒っていたのである。
●実は臆病、意気地なしの生徒
「○○君と□□君と▽▽君です」などとバラしたが最後、その生徒は仲間はずれにされ、いじめられるに決まっている。先生の犯人追及にたいして、生徒が連帯するのはいつの時代も同じである。それは「卑怯」というより「意気地なしの臆病者」なのだ。一語でいえば「怯懦」(きょうだ)である。名乗り出れば、この先生なら体罰を加えるであろうことを感知しているのだ。
●先生は警察ではない
暴言を受けた先生は、常々差別言葉は口にしないよう諭していたそうだが、口で言っても止めない生徒にどうすりゃいいの。答えは何も込み入った教育論など要らない。ならば互いに庇い合う遅れて来た生徒全員に、その場で謝るよう求めればよいのである。
また「なぜ遅れてきたのか」と教室の入口で注意したのも生徒の反撥を誘う。原因究明はほどほどに、時間を厳守するように注意するだけでよかった。誰であるかを
特定し、遅れた原因を追求するのは先生の役柄ではない。
だがくだんの先生は、全員を廊下に正座させるというひどい体罰をあたえ、しかも全員に平手打ちを一発食らわしたという。まるで陸軍のシゴキですな。生徒たちもおとなしく体罰を受けているので、やはり怯懦、本当のワルではなさそうだ。
●生徒、保護者、先生、三者に教訓
さて、生徒の暴言に黙って引き下がっては教師の名折れ……までは良かったが正座させビンタを食らわすとは言語道断である。堪忍袋の緒が切れたといえ、気の毒だが先生にはなんらかの処罰が必要だろう。ま、生徒にはいい薬になったうえ、保護者も子供の言動に問題があったと判ったであろう。先生もまた哀れな被害者であったことで、現今の体罰問題に一石を投じたプラスの意味もある事件でした。(了)