安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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将軍が仆(たお)れるとき
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( 2012年 11月 14日 水曜日


●気楽な稼業、
大戦後の将軍たちは戦死しなくなった。ドローンとか、ハイテク戦争のかげで、地上で敵味方が切り結ぶことがなくなったので、イラク、アフガニスタンで10年以上の米戦死者は6600人(自殺も含めて)、民間住民の巻き添えが多いかわりに兵隊さんが戦地で仆れることは少ない。前の大戦にくらべれば「激減」である。太平洋戦争では、日本軍360万人が散ったのに比べ、いまの将軍たちはあまりにも安全地帯にいる。

悲惨な勝利に自決した乃木希典将軍や、撃たれるため城を出た西郷隆盛の最後、位はさがるが南北戦争のカスター将軍など、壮絶な戦いを強いられた将軍たちの時代はおわった。

●墜ちた勲章、ペトレイアスの軍歴と不倫歴
だからといって今日の将軍が浮気にウツツを抜かす事はなかろうが、チャンスは豊富にある。本日のタイトルは謹厳ですが、シモの話しです。David PetraeusペトレイアスCIA長官が女性スキャンダルで辞任した事件について、女性伝記作家Paula Bradwellと、ああなったのも然もありなん、若くて美人ですからな。

自分で自伝を書く現役の政治家や芸能スターはいない。貧乏で時間がある者は自分で書き、人まかせが嫌いな者は引退してから回顧録を著述する。ペトレイアスの場合は作家が密着取材して、自伝・共著として出版された。

ポーラさんはアフガニスタンへも同行し、CIAの建物にはペトレイアス長官室までのドアというドアが開けられるカードを特別に貰っていた。ここまでくれば、ハニートラップだってあり得るユルユル警備である。米中央情報局CIA長官としては辞任以外あるまい。潔く誤りを認めて即日辞任したので、英雄の浮気にユルイわたしは「しょうがないなぁ」、そういうチャンスはいくらでもある立場だから、とおもっていた。20年若くてバカでないブラさかり取材の美人と懇ろ(ねんごろ)になるのは、自然の摂理ではないか。そういう幸にありつけなかった小人は、閑居して羨むのである。「清く正しく美しく」なんてイヤ! でもどうにもならないす。

●FBIがCIA をハッキング
しかしニュースは、不倫相手が前にもいたことが発覚。Jill Kelley というこれまた美人の若いご夫人、しかも家族ぐるみの付き合いという。ペトレイアスの後任となったアフガニスタン司令官John Allenが不倫に気付いて「デヴィッドに近寄るな」、といった内容の警告メールを何度も送ったのですな。ハラスメントにおこったジルさんがFBIにタレ込んで一部始終が発覚した。FBIがCIAのウイキリークスも知らない不倫メールをハッキングしてリカバー、事実をFBIから本人とオバマに通知された。ウーム、ほかにも出そうな感じ、万事休すですな。

●それでも業績は語り継がれる
国防総省本部で太平洋戦略の関わっていたところを、ブッシュに見込まれてイラク駐留司令官に抜擢され、イラク国軍の組織化と地上戦争をイラク軍に漸次委ねて成果をあげ、オバマにも買われてアフガニスタンの司令官に転身、さっそくオバマの意向に反する増強を期限付きで受諾させた。民主、共和両党の支持を得る政治的才能も発揮して、現国防長官パネッタの後任としてFBI長官へ。赫赫(かくかく)たる
キャリアは終っても、業績は語り継がれるでしょう。不倫でレイムダックになったウソツキクリントン大統領も、のこした業績で活動している。

余録:将軍のぶら下がり記者(男性)の雑誌記事で辞任させられたイラク駐在司令官がいました。名前は忘れたが、ペトレイアスの後任だった将軍でオバマの悪口をぼやいていた雑談を、あまり高級ではない雑誌に掲載され怒ったオバマに解任させられた。『壁に耳あり障子に目あり』、油断めさるな。(了)






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