安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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寧波市民の化学プラント抗議
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( 2012年 10月 29日 月曜日


●中国市民自発のデモ
浙江省寧波(ニンボー)での連日デモは28日に5000人との報道もある。デモの様子はTV映像でわかるとおり、統一がとれていない雑多な市民が、学生グループを先頭に気勢をあげている。旗がなくプラカードが貧弱で、シュプレヒコールがない。官制デモでないので当然と言えば当然だが、プロの活動家ではない中国人って、暴力的ではないのですな。28日に水入りボトルが警察隊にむけて数個投げられただけでした。

金・土曜日のほうが大規模だったが、日曜のデモは、一部学生グループが警察の道路封鎖/非常線を迂回して市庁舎前広場にまんまと達し、警官隊と衝突した。水入りボトルが警察隊にむけて数個投げられただけ、10人ほどが逮捕された。警官隊はどの省でもおなじなのか、シャツと綿ズボンにワーキング帽である。北京の官制デモなどに出動する迷彩服とヘルメットの治安部隊はいない。

●病気になっては元も子もない
中国の汚染工場建設にかかわる住民勝利がいくつかあった。空も水も汚染が進み、もはや手遅れだが、「これ以上は許せない」と気付いた住民が最大の国営石油総合企業シノペックの新工場建設に立ちはだかった。今回は毒性のPX(パラキシレン)を製造する石油化学工場計画に抗議、昨年遼寧省でおなじPX工場が住民デモで移転に追いやられた先例がある。市は、1)PXプロジェクトを反古にする 2)化学精製を停止する 決定を伝えたが、住民は何得せず、共産党政権に住民の批判が向かう兆候が出てきた。

全人代の最中、政府はネット妨害や報道規制で糊塗する限界にある。工場計画は完全撤回され、市長は更迭されるだろう。さて、うなぎ上りの暴動件数はこの1−2年で年間10-20万件という。暴動に対応する公安費がついに国防費を上回る異常事態(2012年予算:公安費7018億元=約9兆1000億円、国防費6703億元=約8兆7000億円)が、はたして経済成長が鈍化した中国に持続可能か。

●国際報道の偏向
おぞましい反日暴動、日系スーパの略奪やパナソニックや自動車企業などへの襲撃に欧米の報道は小事件のあつかい、きわめて中国寄り公式見解や暴動参加者の一方的な声をつたえ、中立穏便事なかれ主義の報道に終始した。なんとなれば日本の論調が事態の沈静化に汲々としていたからである。日本政府の公報や市民意見が大きくなるに従い、徐々に「日本の言い分」を取り上げるようになったが、第一印象は容易に覆されるものではない。

しかし今回の中国住民暴動は、中国バッシングに格好の話題である。それみたことか、と邦字紙より詳しい。

話題をかえます:
●ハリケーン・サンディと失業率
大型ハリケーン『サンディ』Sandy が、これを書いている時間すでに暴風の前兆があらわれた。高波がニューヨーク低地部を水浸しにするかも、というのでクオモ知事やブルームバーグ市長が避難勧告および一部地域に避難命令を出した。28日午後7時に地下鉄を止め、9時にはバスも運行停止するので、マンションの1−2階に住んでいる人は逃げ出すしかあるまい。地下鉄が冠水したら、ビルの地下駐車場も水浸しになる。復旧までの数日間はマンハタン・ビジネス街は仕事にならない。

デラウェアの沿岸に避難命令が出て、サンドバッグや窓の板張りができる住民はよいが、あの辺りの砂丘海岸には別荘が多い。高波を被るがままに放置されるのだろうか。

『サンディ』はフロリダから東海岸を総ナメにする勢力がある。被害の規模によって失業者が増えこそすれ減りはしない。復興需要はあるだろうが、それは米大統領投票日のあとのこと、するとオバマに「不利」にはたらく。ま、コラムがアップされるころは、被害の程度が明らかになっている。言うだけヤボですが、東部オバマの地盤は動かないとおもう。フロリダなど激戦州の動向はロムニーに傾くのかな。自信ありませんが。(了)






Pnorama Box制作委員会


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