安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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超音速で成層圏ダイビング
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( 2012年 10月 16日 火曜日


●Red Bull Straos
台北にできた高層ビル「台北101」からスカイダイビング、見事着地点に立った男がいたが、14日、成層圏上部/宇宙空間のエッジからダイビングしたすばらしい冒険野郎男が、あの台北の男・フェリックス・バウムガルトナーであった。このスカイダイビングを職業とするプロは、ジェット機テストイロットより危険でタフな人間の体力と精神力の限界に挑戦する苦行である。

ガス気球に乗って上昇し、史上最高の高度に達から落下するこのミッションは、風が強いとか、ハリケーンが通るかもとかで延期のニュースが毎日あったので、その準備の様子が尋常でない。天気予報までがわざわざ挙行地ニューメキシコの空模様を伝えて『明日は大丈夫』なんて言う。

米メディアにしばしば名前の出る準備組織Red Bull Stratos とは米空軍傘下の組織とおもう(まちがってたらゴメン)が、公式サイトの紹介では:『Red Bull Stratos(レッドブル・ストラトス)は、科学・医療・そして人類の更なる可能性のために挑む、大気圏の限界領域への挑戦である。これまで人類が航空機というシェルターを使う以外には近づくこともできなかった音速の領域へ生身の身体で突入する』とある。Red Bullはサカリのついた牡牛、Stratos はstratosphere成層圏と強壮の意を兼ねているのだろう。にしても、かような冒険に巨額の国家予算を・・アメリカの底力ですかな。

●宇宙服の高空ダイバーFelix Baumgartner
43才のオーストリア人(といってもRed Bull のメンバーで米に住んでいる)は年齢的に体力と沈着な精神力のピークにある。ジャンプの直前にモニター室から「天使の加護を」との挨拶をうけて気球に吊られたカプセルのハッチを開け、ジャンプ。地球に吸い込まれるように落ちて行く。と、映像は上下左右にクルクルとキリモミ状態である。ハラハラシ約10分後にパラシュートを操ってプロの余裕ある着地をみせ、ガッツポーズ。

高度3万8000mというと、旅客機は高くて1万3000mくらい、もちろん音速をこえる旅客機はコンコルドが廃止されてから作られていない。この無事生還したあとのインタビューで「数分後キリモミしたときには落下速を落とす装置をオンにする誘惑に駆られたが、なんとか直せる気がした」という。きりもみ中は頭と脚に血がダーと偏るのをくり返す。これで失神したのが大先輩のヒーロー、ジョー・キッティンジャーである。自動落下傘装置が起動し一命をとりとめた。

音速を超える落下速度をダイビングで達成するチャンスは心身ともにいましかないなんとか自分で制御できそうだとのクールな意志力が生んだ落下時速1100kmであった。

●生きている伝説のCol. Joe Kittinger
14n日までの記録は52年前に米空軍のジョー・キッティンジャー大佐が樹立した3万1000mだそうだ。52年前、エッ!52年も記録が破られないスポーツがあるだろうか。驚き調べて見るとまさに高度ダイバーの桁外れなパイオニアでありました。米空軍の記録では初めて飛行機を使わず音速を超えた人間とされ,米航空殿堂に名を連ねた名士だ。ヴェトナム戦争では戦闘機乗り、追撃されて捕虜、拷問の体験を持つ。現在83歳、生きる伝説である。NASAが使うハイテク圧力調整宇宙服はまだなかった時代、落下スーツの与圧が不完全で体が倍に膨らむそうだ。バウムガルトナーも前回のトライで右手の与圧に不具合があって倍に膨らみ痛かったという。下の写真はバウムガルトナー今年7月の挑戦を祝うキッテンジャー(右)。






Pnorama Box制作委員会


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