安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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780万円
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( 2012年 9月 24日 月曜日


当地、長過ぎた雨もようの毎日が木曜日からカラリと晴天に、朝食もそこそこに戸外に出て伸びすぎた灌木のトリムに毎日精を出しておりました。安息日の日曜は我家のきまりで仕事禁止なものですから、コラムを書きましょう。

●一命に賞金780万円
パキスタンの鉄道大臣がイスラム予言者ムハンマドの侮辱映画の制作者に10万ドルの懸賞金を与えるという。10万ドルは邦貨にして780万円、大廉売じゃあるまいし、ヤケに安い賞金ですな。大臣どのの個人支出であり、ま、パキスタンの生活水準は日本の十分の一くらいですから、なら7800万円に相当する。大臣どのの個人支出であり、適正かませもしれません。

鉄道大臣は同時に、アルカイダとタリバンにこの「崇高な行為」に協力を呼びかけた。既にパキスタンではデモ騒動で20人が死亡、イスラム圏での反米騒動の損害を合計するといったいいくらか、10万ドルでカタがつくならやすいものだと思う勿れ、実際におこれば、言論の自由に義をおく米欧は制裁せざるをえない。

●ビンラデンは5000万ドル
アメリカはビンラデンの生け捕り/殺害命令を出し、情報や、首に賞金をだすと世界に周知させていた。しかしこれは前例とはいえない。制作者とビンラデンが同列に論じられないことは、その賞金10万ドルと5000万ドル(当時の為替で52億円)の差がよく示している。

小説『悪魔の詩』の著者サルマン・ラシュディ、ムハンマドの風刺画の作者、コーレ・ブリュトゲン、また各国出版社の社長や、風刺画を転載した新聞社の編集長にたいして、イスラム圏の数カ国が殺害命令を発し、刺客を派遣した。このときの賞金はたしか2億円くらいだったと記憶する。ブリュトゲンは警察が改造したアパートの防弾浴室に逃げ込んで危うく命拾いした。「悪魔の詩」では当地の出版社社長ニーゴード氏が銃撃され、犯人捜査がスっと打ち切られた。背景にホメイニ師のイランと関連があったため政府が幕引きをはかったといわれる。

●パキスタンは反米でガス抜き
パキスタンは国民レベルでみると、イスラム圏で最も反米である。イラン、イラク、エジプトなどには隠れ親米市民が多いのにくらべ、パキスタンとアフガニスタンは筋金入りの国民で無知な反米衆愚で溢れている。しばしばガス抜きが不可欠なのだ。侮辱映画をきっかけに反米に火がついたプロセスは尖閣をきっかけに反日を煽った中国と同工異曲であろう。

●南シナ海では
ベトナムベトナムは6月、南シナ海の南沙とパラセル(西沙)の両諸島の領有権を定めた海洋法を国会で可決した。この動きと呼応して中国が南沙・西沙・中沙の3諸島をひっくるめて三沙市を制定し実行支配をつづけている。フィリピンが南支那海で国際入札を実施し、さらに先日は自国の経済水域を「西フィリピン海」命名した。互いの艦艇が睨みあう嫌悪な状況が20年つづいているが、中国ではデモがない。ベトナムやフィリピンで反中デモがあっても中国では南シナ海をめぐって反越や反比のデモ話を聞かない。

習近平国家副主席は22日、南寧市で開かれた中国―SEANフォーラムの開幕スピーチにあらわれ、報道によると「中国は国の主権・安全・領土を断固として守り、領土・領海・海洋権益をめぐる隣国との紛争を、友好的な交渉を通じて平和的に解決することに努めてきた。我々は永遠に覇権を争わず、覇権を唱えない」と言った。中国次期トップの人物は二国間関係で脅し、多勢にあえば美言を弄する偽善家である。(了)






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