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カモメが魚釣島に鷹を生む
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( 2012年 9月 20日 木曜日 )
●中国政府の想定を超えた反日デモの広がり
中国国辱の日とされる18日と、翌日の反日デモは、わたしの予想に違わず平穏でした。良かった、当方も謹慎しなくてすみました。 たくさんの監視船が勇ましく尖閣水域を航行しているカラー写真が中国国各紙のトップを飾ったようですが、政府は「反日やってます」姿を喧伝するヤラセです。監視船とひとくちに言っても中国には海上警備を行う「五龍」と呼ばれる五つの機関があり、普段は農業部漁政局、いわゆる<漁政>の監視船が漁船団につく。ただし今年2度あった中国活動家が尖閣上陸するときはわざとついて来なかった。 今回は魚政の監視船はわずか、尖閣水域の近くにはせいぜい三十隻まで、1000隻なんて考えられないと先のコラムに書いたようにウソ茶番だ。誇張好きの「白髪三千丈」のたぐいである。一カ所に押し寄せたら一隻あたりの水揚げがなくなるではないか。 領海に添って接続水域を示威航行したのは公安部に属する<海警>の監視船十隻と魚政からの一隻だった。領海に入ったり出たりの示威航行をしたのは日本海上保安庁の反応を熟知している魚政の船だった。中国メディア用に海警の監視船十隻の勇姿を喧伝するためにほかならない。これが出たら不直衝突につながる海軍のフリゲート艦は130キロ離れた海上に確認され、東シナ海の常態を超えるものではい。 なお、五龍の残りである3組織は、国土資源部海洋局の<海艦>、交通運輸部海事局の<海巡>、密輸取締局の<海関>である。 ●カモメが魚釣島に鷹を生む 反日の最大原因は、尖閣諸島の国有化にあったわけですが、日本国民も知らないうちに都から国が買い上げる動きがあって、野田首相が急いで決めた印象がある。野田さんとしては、国が買い上げて島にはなにも作らない,そっとしておくのが日中関係を鎮静する最良の措置、と考えてのことでしょう。でも中国と事前のすりあわせというか、説明が不充分だった。どうも事後承諾で充分喜んでもらえると思っていたように思える。とすると無知も甚だしい。ま、無知のおかげで『尖閣諸島は日本国有地』と既定事実を作ったのですからから、野田トンビが魚釣島に鷹を生んだようなもの。到らない野田さんであればこそ、感謝です。 中国のような一党独裁のなかで熾烈な権力闘争にあけくれる政治家の思考経路で、係争相手国が突然、国有地にしたなら、歯ぎしりして憤怒するだろうことは想定内である。権力者は己の想いを相手に投影して理解・誤解する。国家権力者ではない石原東京都が購入のはなしを進めていた頃、習近平は「互いに善意と対話で解決出来る」と穏便だったが、昨日パネッタ長官との会談前の談笑の席で、記者達の前で「日本の尖閣諸島国有化は茶番だ」と一変した。 ●習近平 は江沢民の再来か 2週間雲隠れしていたあいだ、八方美人の習は上海閥の縄張り地域で反日を煽動し、団派の巻き返しを図った。そのための作戦を指令するため部下に密着、報道から消えたのでは、と憶測されている。 次期政権のトップ・習近平は米に友好的な姿勢は堅持し、バランスに反日に出るだろう。いつか来た道、江沢民と同じ手法である。江沢民の反日教育が日中関係を狂わせたのだが、米では国際ステーツマンとして好感を持たれていた。ヘンリー・キッッシンジャーが回顧録で語っている。日本を非道と糾弾する習近平も、南シナ海の米軍顕在に抗議をするが、言葉遣いはソフトである。いつ習近平が反日カードを切るか、おもしろくない日中時代の幕開けである。 ●経済への影響は一過性 中国の経済制裁は長続きしない。振り返ってみよう:歯磨きや食品が毒性化学物質を含む中国製と米でボイコットや陸揚げストップがあったとき中国は対抗措置として米製品の不買運動がおこった。サルコジがダライラマを迎え入れ会談したとき、中国はエアバスの大量注文を凍結、フランス製品ボイコットや、仏系スーパー・カルフールが襲撃された。ノルウェーが投獄中の民主活動家・劉暁波にノーベル平和賞を与えたとき、サーモンを買ってくれなかったり、訪問中の閣僚が会談をドタキャンされ、輸出契約が理由なく延期された。 忌々しいことだが、長く続く者ではない。だいたい半年くらいで上記の制裁措置は自然消滅している。今回も打撃を受ける当該企業には気の毒だが、日本経済への影響は取るに足らない.(了)
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