安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ムハンマド嘲笑に怒り狂うイスラム
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( 2012年 9月 13日 木曜日


本日はイギリスの底力について続きを書くつもりでしたが、リビアの米領事館襲撃の事件をとりあげます。

●予言者ムハンマドを嘲笑するクリップ
リビアの米大使と3人が殺された事件のきっかけは、米でつくられたアマチュア的映画Innocence of Muslimsのクリップがアラビア語の吹き替えでユーチューブに出たのがはじまり。題名をなんと訳せば良いのか、1―7回連続で約20分のクリップを見た印象では邦題を「無邪気なムスリム」とでもするか。予言者ムハンマドはこんな恥知らずな男、知らずに崇拝するムスリムをあざわらう趣向のお笑いセックスコミックである。西洋人歴史家による史実をネタにしているのだが、イスラム教徒の目には絶対認められないねつ造、死刑に値する冒涜なのです。怒りは映画をつくった遠くの米人より、近くのアメリカ公館が見境なく狙われる。たとえば毛沢東をこの米人監督が女と粛清のお笑い映画にすれば、暴徒は北京の米大使館、上海の米領事館を襲うだろう。

●正体不明の米人によるアマチュア映画
監督のSam Bacile (仮名、在カリフォルニアの米人、経歴不明、電話でイスラムは癌と断じたが,その後雲隠れ)によれば、この映画は2011年に完成、2時間を超える大作、52人の俳優、制作費500万ドル、100人のイスラエル人から資金を得たという。それにしてはあまりにも安っぽいセッティング、合成の背景、少数の無名プロ俳優ほか、アマチュアの寄せ集めである。映画館で上映されたようすはなく、今年の3月に監督自身が20数分のクリップをユーチューブにアップし(現在削除)、それを細切れにコピーしたものや、ニセの類似ヴィデオで賑わったらしい。

●エジプト、カイロの米大使館に暴徒
だが最近、アラビア語吹き替えで約5分のクリップがユーチューブにアップされ、また国営TVが報道したことから、映画を作った人間のいるアメリカ、その出先機関が狙われた。激高した衆愚は短絡的である。月曜日にまずエジプトの暴徒が9.11で半旗を掲げていたカイロの米大使館を襲い、旗を引き下ろして燃やしたが、警備の催涙弾とゴム弾で追い返され大使館は無事だった。エジプトはムスリム同胞団が与党であり、大衆が反米に向かうのは理解出来る。

●重火器で武装したリビアの過激派
わからないのは水曜日夜のリビアである。ヒラリー・クリントンが メI ask myself, how could this happen? How could this happen in a country we helped liberate, in a city we helped save from destruction?モ_「 なぜこんなことが起こったのか、自問しています。われわれが自由化を支援した国、破壊から守った都市でなぜこんなことが起こり得たのでしょう?」と困惑したように、ベンガジは反カダフィの拠点、米, NATOと緊密に協力した都市である。リビア政府はイスラム圏で最も親米的であり、大使館は首都トリポリに、ベンガジに襲われた領事館がある。

しかし選挙では原理主義グループも強く、隠れたカダフィ忠誠組もいた。わるいことにカダフィを殺し、息子のサーディを拘束したあとの反乱組は武器を返却しなかった。リビアにはロケット砲や機関銃、自動小銃が民間に野放しになっている。重火器で武装した過激派の襲撃に、領事館は燃え墜ちた。この日、J Christopher Stevens大使がベンガジの領事館に来ていたことを知っていたのだろうか。犯人グループはイスラム各国にいるアンサール・アル・シャリアAnsar al-Shariaの仕業徒言われる。この過激派はアルカイダと連絡がある。

●犯人グループの検挙は迷宮入り?そのときオバマは?
対して、オバマは海兵隊の対テロ特殊部隊を公館の警備に送り込むが、犯人の捜索逮捕はリビア政府 に委せざるを得ない。リビアの警察や治安軍に犯人グループを捜索、検挙できる能力がはたしてあるだろうか。今後、犯人逮捕の見込みが薄れてくると、バマは大統領選挙で窮地におちいる。(了)






Pnorama Box制作委員会


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