安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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遅延キャンセル、夏のオスロ空港は最悪
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( 2012年 9月 10日 月曜日


●遅延キャンセル、夏のオスロ空港は最悪
ヨーロパにある国際空港のなかで、この夏、最も離着陸が遅れた空港はノルウェーの首都オスロのメイン空港・ガルダモーエンだった。たしかにこの国の夏は航空便の遅延やキャンセルがザラで、わたしも身に感じて信用出来なかった。

8日の当地ニュース「不満な航空会社が連名で100ミリオンンNKR(約1億4700万円)の補償を航空管制の会社アヴィノールAvinorに要求」した。この会社は民間の建て前だが、運輸省が100%の株主になっている。

この国の公務員は夏休みをタップリ、医者も看護婦も半分は同じころに夏休みをとるので、臨時に外国の医師,看護士を呼んで凌いできた。斡旋する医療人材会社があり、高額なので東欧圏から集まるので幸い今日まで破局に至らなかった。

●公務員、準公務員の弛んだ規律
しかし当地の航空管制官は、外国人でも許可されるが英語だけではダメでノルウェー語を母語のように話すという条件があり、また外国の管制官は概ね国家公務員のため穴埋めする代りの人がいない。休んだ人数だけ減るのである。

7月にはオスロ空港65人の管制官のうちなんと40人が休んでいた。勤務人員を管理するボンクラ責任者はこの日、メディアに夏の勤務人員と時間表を突きつけられても「最善を尽くした」と、しらばくれたことを。規律と責任感を失って30年、そんな風情の幹部でした。翌日、非難囂々の世論にやっと気付いたか、昨日は逃げていた社長が出てきて平身低頭に謝った。もちろん頭さげたり、澄まないと言わない、それを言うのは責任回避であるから。ちなみに日本人は土下座をさせるのが好きだが、あれは人格を貶める醜い暴力だ。土下座する方も卑屈でひじょうに醜いとおもう。

●警察−法務省と航空管制−運輸省の怠慢構造
ブレイヴィクが昨年初夏にテロ殺戮を実行したとき、オスロの警官はサマーホリデーで激減、現地の警察は留守番一人のありさまだった。警察組織の弛みと管轄の法務省がロクに仕事をしなかった。今回は航空管制官を監督する運輸省航空局の弛み、おなじ構造である。

働かないものほど給料値上げに姦しい。航空管制官は失敗すれば大きな人命事故を引きおこす責任ある仕事ですから、勤務時間は短く設定してある。管制官の初任給は邦貨にして約、980万円、平均給与は約1250万円。けっこうな給料ではないか。だが、仕事は毎日おなじことの繰り返しで苦しい仕事ではないが、マンネリ仕事で面白くない。というので辞めていく者が多く、人員増強がおもわしく進んでいない現実がある。


補記●管制官の教育制度

すこし当地管制官の教育について述べると。航空官制管養成大学の入学資格は高校卒以上で19歳から30歳まで、ノルウェー人に限定しないことは先に述べた。入学試験と面接で決定され、TOFELは不要。米のノースダコタ・航空大学で2年官間、卒業してからノルウェーでインターン研習1年が義務付けされている。授業料、宿舎など全額無料のうえ、お小遣いもいただける。就職は約束されているよいことづくめ。人気のでないはずはない。今年の応募者は500人以上いたという。筆記試験でふるい落とされ、3度目の面接に残った受験者51人のなかから最終的に定員数の24人が合格した。500人中の24人……団塊の世代でも競争率は最高20倍くらいですから、たいへんな『狭き門』である。

日本の航空管制官は国土交通省に属する公務員であるから、採用試験にパスすればいいのであるが、通常は専門事学校や大学卒(その見込み)の資格で航空保安大学に入学、修業2年の後、やはり1年の現場研修がある。初任給は年功でかなり昇給するため低く抑えているが、平均年収は約700万円の高給取りである。休みをタップリとるノルウェーの同僚は倍額貰っているのに、公共に奉仕する精神は日本同僚の半分もないだろう。(了)






Pnorama Box制作委員会


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