安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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尖閣三島の地権者、表に出よ
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( 2012年 9月 6日 木曜日


●不動産ビジネスのおぞましさ
尖閣三島(魚釣島、北小島、南小島)を東京都が購入する件が、途中で政府が介入し、いつのまにか国が20億5000万円で地権者と合意したという。国が○○ドルで買い上げるこのニュースには殆どの国際紙に報じられ、石原知事を相変わらず常套句・問題を起こす人物controversialと形容する。国が購入するのを日中関係に波風たてる行為という中立、事なかれ主義の米に添った内容である。こういう外国報道のありかたは、中国の報復を怖れて事なかれ主義をとってきた日本の歴代政府に成因がある。

石原氏にとってはこれまで長年の辛抱強い努力が、瞬時にしてチャラにされたのである。石原知事は「無礼というか卑劣というかペテンだ、詐欺だ」と口走ったが、同感、まったくそうだ。
政府官房副長官と地権者が都内のホテルで密会して合意した。闇討ちだ。野田も藤村も無礼千万、言い及んで詮方なし。本稿で問題にしたいのがこの地権者である。

●地権者は表に出よ
国が買い取る尖閣諸島三島を「所有する男性(70)」と本名を伏せる報道がすでに奇妙、プライバシーの侵害にあたるとでも? 40年来の知己と(弟の談、山東昭子氏は昨年9月に両者を引き合わせたとTVで発言)いう石原氏が本人の希望を汲んで言明しないのはわかるが、メディアが隠す理由などない。

地権者の弟である弁護士が、肝心のところで兄と通じていない要領の得ないインタビューをするため、売るのは都か国か、コトの実情が反って不透明になった。地権者栗原國起なる人物はなぜ表に出ないのか。個人で不動産事業を営む人物はえてして公にされるのを嫌うが、尖閣諸島の国有化は国民の関心事、売り主が覆面で通すなら、国が強制収容すればよい。国民に異論はないだろう。

地権者は都が購入する金額に2000万 円上乗せした国のオファーに傾いた。不動産物件の競売じゃあるまいし、いかに建前を繕うとカネが合意に至った要因だ。借金を返す為な らそう素直に言えば欲深の疑いは晴れる。国有地なら国が桟橋や漁労民の避難小屋をたて、環境保全に取り組む義務がある。栗原國起氏が 石原氏の桟橋など漁船の退避施設の建設をおそれ、日中が紛糾しないようそっとして置いてほしいと願うのはエゴ、それなら親族の一員に 譲渡すればよろしい。野田首相が中国を刺激しないよう魚釣島を現状維持、建造物をつくらせない意図で横取りしたのもエゴである。しか し、次の首相がよほどのボンクラでないかぎり、船だまりなどの環境整備に着手するだろう。

●尖閣諸島開拓者・古賀辰四郎から現地権者まで
そもそも、尖閣諸島はなんでも古賀辰四郎という人が探検し、明治政府から開拓許可/無償貸与を得て羽毛やリン鉱石、夜光貝を採取、魚釣島にカツオ節工場を建て、最盛期には130人が生活していたとう。古賀辰四郎は藍綬褒章を賜っている立志伝中の興味ある人物。昭和7年に古賀氏の長男に現在の時価で2,500万円で払い下げられたが、太平洋戦争が近づくと当然全員島を離れ、占領中は米軍の管理下に置かれた。縄返還後、それも1974年から88年にかけて古賀家と親交のあった埼玉県の大地主で富豪の栗原家が4,600万円買い取った。20002年から国が3島を年間2,450万円で地権者・栗原氏から賃借、国有化されるのは法的には契約が切れる3月以後になる。

●「憂国の士」なら
表に出ない地権者・栗原國起は政府への賃貸でこの10年に税込み2億2千450万円の収入がある。所有する島々を見た事もない地権者、都から国へクラ替えしたことに疾しいところがないなら、顔を見せて弁明する義務がある。憂国の士がなんで隠れましょう。おそくはない、初心に還って東京都に売却するよう望む。(了)






Pnorama Box制作委員会


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