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ロマンチストHal David逝く
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( 2012年 9月 3日 月曜日 )
●最後の古典的作詞家
『雨にぬれても』作詞家、ハル・デヴィッドHal Davidが91歳で亡くなった。氏の公式サイトには歌詞700の目録があった。長いキャリアですから、詩の数はおどろくにあたらないが、例外を除いてすべて曲付き、作曲家との合作であると知って腰を抜かすほどビックリした。佐伯孝夫氏も多作だが、700もあるのかな? 古典的な作詞家コール・ポーター(作曲も)、アーヴィング・バーリン、オスカーハマースタイン、ロレンツ・ハート、みな故人となった。今また最後の古典的リリカー、ハル・デヴィッドが去った。今宵はしみじみ昔を憶いあきずに聴く。 ●バカラックとハル・デヴィッドとディオネ・ワーウイック 作曲家のバート・バカラックと組んで幾多のヒット曲出している。「雨にぬれても」(Raindrops Keep Fallin' On My Head映画『明日に向かって撃て』主題曲)を聞いたことがない中高年はいないだろう。ン?ジーン・ケリーの『雨に唄えば』なら知ってるって、もう。 「遥かなる影」Close to you, 映画「何かいいことないか子猫チャン」Whatユs new Pussycat?「アルフィー」Alfie, の同名劇中歌、「小さな願い」I Say a Little Prayer」「ベスト・フレンズ・ウェディング」My Best Friendユs Wedding,「サン・ホセへの道」Do You Know The Way To San Jose など、You Tubeで英題を入れると米の歌手が、邦題を入れると日本の歌手が唄います。 ハル・デヴィッドがサイトでMy favorite version is Dionne Warwick's. She always interprets my lyrics in a way that sounds as though she had written them herself.と推奨するディオネ・ワーウイックがバカラックとデヴィッドに捧げるライブをぜひお聞き下さい:http://www.youtube.com/watch?v=dbbFgdHEEKM バカラックは女優のAndieDickinsonと結婚してセレブの派手なライフスタイルであるのに比し、デヴィッドは地味であまりメディアの話題にならないため、バカラックあかりが目立つが、実際の吹き込みなどではデヴィッドの存在が安定要として大きく不可欠だったと言う。 1921年ニューヨーク、ブルックリン生まれ、作詞家として成功していた兄にならって作詞家を志したが、「やめとけ」と言われて広告会社のコピーライターから出発した。本名Harold Lane David, ユダヤ系。(NY Times2日版音楽欄に20年に及んだ二人の仲違いほか、長文の記事有り) ●ハル・デヴィッドのことば (公式サイトhttp://www.haldavid.com/index.htm Word from Hal Davidから 一部を訳します) シンプルさを実現することはたいへん困難です。シンプルで悪い作品ならかんたん ですが、シンプルしかも良い作品はたいへん困難です。洗練されたコール・ポーター、素朴なアーヴィング・バーリン、詩的なオスカーハマースタイン、witty機知に富んだロレンツ・ハート、これらの作詞家たちは一つの共通点、良い意味での「シンプルさ」を持っています。(筆者の嘆き:みな故人に……)私はまた、特にお気に入りのジョニー・マーサーについて述べておきたいとおもいます。詩的あるいはユーモラスな作品にかかわらず、彼は決して複雑ではありません。私は「シンプルさ」と呼ばれるこのとらえどころのないものを常に求めています。いつか達成したいと願っています。 なにより、私は他の人が反応できる情感を創作しようとしています。私自信が反応できる情感を創作できないなら、その歌詞は投げ捨てます。他の人がどう反応するか、私が知ることはできませんが、詞が私の心を動かすなら他の人も同じように心をうごかすだろうと考えるわけです。ある時は正しく、ある時には間違っているのですが。 私はバート_バカラックとの長い共同作業を楽しく過ごす幸い授かりました。バートは多才能な人です。巧みな編曲家、傑出した指揮者、しかし何よりもまず最高に素晴らしい作曲家 であります。ソングライターの中には多くのメロディー作りがいますが、作曲家はほんの一握りしかいません。彼はその数少ない一人です。 私たちは自身のスタイルを持っている、との評を聞いたことがあります。でも私たちが意識的に工夫したことはありません。「世界は愛を求めている」と「何かいいことないか子猫チャン」は確実に異なり、北極と南極ほども離れています。同じことが、「アルフィー」と「妻と恋人たち」にも言えるでしょう。二つは、両極に隔たれています。私たちが主に試みるのは、どんな曲を書くにも独創的なアプローチを見つけることです。ただ他と異なるために異なるのは単なるバカです。私たちは絶対そんなことはしません。私たちが表現しようとしている情感を取り去るものは、何であろうと捨ててしまいます。もし曲が誠実でないならば、自身を欺くことになりますが、公衆を欺くことは決してできません−漸くとしても長くはむりです。もし私たちが真にスタイルを持っているとするなら、私たちが独創性を探求する過程にあるからで、決まった方式を作成しているのではありません。私たちが求めていた新鮮さに達成したとき、それは素晴らしい気分です。ここにあげる歌詞は1965年に書いた私たちの不朽の曲の一つです。 WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE *What the world needs now Is love, sweet love. It's the only thing That there's just too little of. What the world needs now Is love, sweet love- No, not just for some But for everyone* Lord, we don't need another mountain; There are mountains and hillsides enough to climb. There are oceans and rivers enough to cross, Enough to last 'til the end of time. *refrain* Lord, we don't need another meadow; There are cornfields and wheat fields enough to grow. There are sunbeams and moonbeams enough to shine. Oh, listen Lord, if you want to know! *refrain* 世界は愛を求めている *今、世界が必要なものは愛、やさしい愛 愛だけがあまりにも少なすぎるから 今、世界が必要なものは愛、すてきな愛 一握りの人の為じゃなく、皆の為の愛* 神様、余分な山はいりません 登るための山も丘も十分あるんです 渡るための海や川も十分あるんです この世が終わるまで十分にあるんです *リフレイン* 神様、もう、これ以上農場はいりません 充分に収穫できるとうもろこし畑も麦畑もあります 輝く太陽の光も月の光も十分あるんです だから神様、耳を貸してください もし、知る気のあるのなら・・・ *リフレイン* (複数の日本語訳からリフレインはすべて省略していめすが、いちばん良いと思った訳、どなたの訳か知りませんが転載さえて頂きました。) この歌詞は完成まで2年かかった。Hal Davidの公式サイトには詩人の創作ウラ話ともいえる呻吟の様子やブレークスルーのフレーズが浮かんだとき、その経緯がこの歌詞の次に平易な英文で書かれています。
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