安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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水害について
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( 2012年 8月 30日 木曜日


●ハリケーン・アイザックに勝った米の水害対策
共和党大会は大型ハリケーン・アイザックの来襲で延期、一日伸ばして28日開催された。巨大ハリケーン・カタリーナのときはニューオーリンズ市が水没、タンパも被害を受けたが、今回のアイザックはルイジアナ上陸時の強さがカタリーナよりやや劣る程度。また、大水害?とおもいきや、なにごともなし。10万戸に停電があったが水害はなかった。それはカタリーナ被害にあった2005年から計画して完成した排水管装置のおかげである。市内の方々から接合し、海岸の巨大な排出口は4―5本の管でできている。わたしなら立って歩ける直径だ。洪水対策が見事に功を奏したわけだ。

●中国の水害はケタがちがう
広い国土だけに台風のあたりも多く、毎年大洪水が何度もある。来る年も来る年も大洪水が起こるというのに、対策がとられていない。7月北京を襲った豪雨では、家屋流失、倒壊8000所帯、死者77人と公式発表、実際は3桁とも4桁ともいわれている。8月1日におきた吉林省の洪水、土石流、土砂崩れはひどかった。米、綿花、養豚場が全滅、今年の中国農産物は相当減るが、農産物の物価上昇に政府。

●自然災害に弱い沿岸都市をシュミレート
地球と環境科学のジャーナル8月号は自然災害Natural Hazardをテーマに海岸沿い世界の沿岸大都市Coastal Metropolises、マニラ、カサブランカ、ダッカ、バンコク、大阪などをとりあげて洪水に対する「脆弱性」を検証した結果が報告された。この分野の科学者グループが、地形や都市のインフラ構造のみならず、社会的、政治的、経済的なファクターも加味して沿岸洪水Coastal Floodをシュミレートしたレポートである。

●水害に世界一脆弱な沿岸都市、上海
最も脆弱な沿岸都市は「上海」、台風の通り道にあり、集中豪雨での被害は何度も実証済み、人口2300万に比し洪水シェルターはあまりにも少なく、災害に対する市民教育と避難訓練が殆どなされていない。今年夏には重慶洪水の酷さに中国政府が外国記者をシャットアウトしたほど。北京の地下鉄や地下道の排水装置は1980年年代に造られたまま、そのため溺死した者が多かった。北京オリンピックのためにつぎ込んだインフラは表ヅラだけ、排水管や排水溝は放置されていたのである。建設中の超高層ビル「上海タワー」(632m中国一)の近辺の道路に亀裂がいくつも走る写真が中国のツイッターで世界の知る所となった。

●先進国の条件;優れた水害対策
東京や大阪の地下街で人が溺れるなんてことは起こらない。沖縄、九州の台風水害は大惨事をかわした。おなじ台風で韓国、特に北朝鮮で作物被害が大きかった。低地オランダの首都アムステルダムは海に挟まれた半島の付け根にあり、市を環状に囲む堤防、運河、水門と軍隊の砦、その間にある干拓地や水路が洪水と外敵を防ぐ「防衛線」、別名洪水線と呼ばれ、文化遺産になっているので一部を観光された方も多いでしょう。最近はめっきりオランダで洪水のニュースきかなくなった。(了)






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