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アーミテージ・レポートの変遷(2)
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( 2012年 8月 20日 月曜日 )
●第3次報告書のパネル発表会
CSISの会場には日本人らしい東洋人が半数以上、日米関係の駐在記者さんや研究員は全員きていたのではないか。逆にそれほど米の記者さんや日本研究者が少ないか、アーミテージ+ナイの報告書に関心が低いかだ。両方だろう。 質疑応答には特派員や東京から出席した朝日の加藤洋一さんは特にグリーンに指名されて、普天間基地移設問題を糾したが、アーミテージの返答はF−Wordと呼んで本院が揶揄する基地問題に時間を浪費したと、まそうではあるが、日米安保の大局観から打開策を日本が見つけるようにとなかば諦念した返答。ほのぼのおじさんらしい気の抜けた鷹揚さである。いまごろは普天間に詳しい佐々江次官が駐米大使に起用されたと聞いて喜んでいるでしょう。 さて、最初に質問に立った中国人女性が尖閣諸島に米がどのように対処するか、日米安保に準じて海事と協力するのか、中国が武力行使に踏み切ったときは、米は戦う用意があるのかと中国記者らしい挑発的な質問があった。日本人にはとてもできない無遠慮な質問だが、勇敢でよろしい。アーミテージは仮定状況に答えるのは不可能とし、尖閣諸島は戦後米軍が管理し、沖縄返還とともに日本の施政下にあるとしながらも、日中の領土係争に米は中立、双方の自粛と対話を望むというのみ。中国海軍の台頭にくわえては経済が鈍化し資源確保のため東シナ海を領海に画策し、国状が不安になると日本挑発がおこるだろう。準備怠るなと警告した。余計なお節介、先刻承知しております! ●中韓の歴史認識に基ずづく国際メディア 東日本災害のときは「ともだち作戦」を日米のキズナと大合唱した米メディアがいまWSJ、NYT、WPからWPまで、今回の尖閣諸島、竹島の係争に中立ないし韓国寄り日本をやんわり批判する。慰安婦問題は以前から許されない日本軍による蛮行と韓国の肩を持ち、ソウルのアメリカ大使は李と同調した。歴史を直視、日本は歴史認識がかけていると大口叩く韓国の李韓国大統領の妄言にはいっさい触れない。靖国神社をWar Shrine, Cemertry incl. war criminals と注釈が定着した。妄言も定着すれば既成事実から真実へ,誰も検証しないで疑わない常識と化す。国際メディアの判断に使われるということを弁え、わたしたちはもっと饒舌になりたい。日本の高齢者にはできないが、若い日本人に期待する。 発表会でアーミテージは領土問題に答えて日本は歴史問題を受け止めよと発言し、グリーンは政権の末期に政府トップがポピュリズムに走るのはいつものこと、などと笑い飛ばして気にするなと言わんばかり。この発想が国際的に一般常識となった。 振り返れば、グリーンもナイも日本では知日派で通っているが、グリーンはアジア全般、ナイは欧露中アジアアフリカを論じる国際関係の学者としてカーターの国務副長官、クリントンのアジア対日政策を担当した。おかげでクリントン時代の日米関係は滞りジャパンイジメばかりされた。御用学者として華々しい経歴だが、学究一筋のハンチントン「文明の衝突」が有名になると嫉妬したウサンクサイ人物である。 ●生身が見えないジャパンピープル 一方、米の中国研究陣は多すぎるほど、北朝鮮が要注意のため韓国に目が向く。いきおい日本は疎かになり、少数の知日意見は国際的にかき消される。在日特派員は優秀でも英米中露などの同僚より格が低くみられ、本社の編集者は軽く見ている。 もちろん日本製品の高品質、ブランド力、科学技術、安全で豊かな社会、清潔で衛生的な成熟社会、エネルギーの効率化、人権擁護、等々不動の実績は世界周知であるが、その優秀な日本国民はなにをかんがえているのか、なにが言いたいのか、彼らには掴めないのである。日本のマンガオタクでも生身の日本人はわからない。はっきり主張する石原知事は問題をおこす右翼の扱いでしか理解出来ない。このあたりは中国見解の丸写しである。 この日本が説得すべき国際メディアの頑迷を醸造した責任は、そもそも米の中露韓ウォッチャーや、ジョセフ・ナイの言説にある。この言説を覆し、風孔をあける方法があるだろうか、わたし凡人は途方にくれる。一挙に虚の常識を正す方法はないのだから、市民レベルの饒舌の積み重ねが重要とおもう。 ●李承晩ライン 子供の頃、抗日韓国大統領が経済水域として独断で『平和線』と詐称する『李承晩ライン』を設定し、操業する日本の漁船が韓国軍に拿捕、乗組員が長期抑留されるニュースが日常茶飯にありました。日教組のアカい先生方も怒る、一億総怒りんぼしたのでした。日本はしかし復興の力まだ弱々しく海軍などありゃせんわ。指をくわえて何も出来なかった。米は講和条約締結で日本の漁業区域を10だか20マイルだかいい加減に設定したマッカーサーラインが消滅したが、事後処理を疎かにした米のために竹島と歯舞色丹の漁業権を失い、尖閣諸島だけがまだかろうじて日本の施政権を維持している。 つい、だらだらと不平になってしまった。こんなハズじゃなかったのですが、次回は冷静果断に領土問題について日本人には不愉快な事象を含めて書くつもりです。(続)
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