安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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アーミテージ・レポートの変遷
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( 2012年 8月 19日 日曜日


●2012年 Armitage Report III、
8月15日、第3次アーミテージ・レポート『米日同盟、アジア安定の錨The US-Japan Alliance, Anchoring Stability』の発表会がワシントンのUSIS( 戦略国際研究所)で行われた。超党派の有識者執筆陣8人がパネラーになって、エネルギー、経済と通商、中国問題、安全保障、自衛隊平和維持軍の武器使用など、スタディグループが話し、その後質疑応答にも時間をかけたのでたっぷり一時間半を費やした。

全ヴィデオは http://csis.org/event/us-japan-alliance-anchoring-stability-asia
報告書『米日同盟』のPDFは http://csis.org/publication/us-japan-alliance-1

アーミテージのイントロからはじまり元国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長M.グリーンが司会役、ジョセフ・ナイはもうトシですからパネラー体にキツイのでしょうか、理由は説明なかったが欠席でした。

●2000年 感銘深い最初のレポート
通称アーミテージ・レポートは2000年、ブッシュの国務副長官時代にハーバードのジョサエフ.ナイ教授と出版した「アメリカと日本:成熟した関係へ進展」である。このときのインパクトは、米の対日政策立案者がたいへん親日的でかつ対等の関係を向こうさんから言ってきてくれたことに、日本の識者は大いに感激した。真に日本のためを思って考えてくれる人がいた、なんてプロレスラーのような軍人アーミテージさんが大好きになりました。

その後、国会がイラクへ自衛隊を平和維持軍として派遣できるか逡巡しているとき、アーミテージがShow the flag! と言いましたね。あれで小泉首相の決断に国民が同調したようなものだ。同盟の理想は米英同盟だがこれはもう説明の用なし。その米英同盟とおなじレベルの同盟を米日ができる、米はそれを望んでいるという慇懃な態度である。反米朝日ですら米を見直す論調をだった。ブッシュは小泉とならホントに米英のような関係を日本とできると信じていたようだ。ま、たしかに文句無しに親日米大統領でありました。

●2007年 神通力を失った第二次レポート
そして第2次レポートがやはりナイ教授と共著で発表されたが、前回の主張を敷衍した日米関係これからのの30年を描いたもので“Getting Asia right through 2020”と題され、米の国益に立った世界戦略に日本を抱き込もうとする にすぎないのでは、日本の国益など毛頭もないとハッキリした。日本ではあまり話題にならなかったし、米国益を優先したレポートでは米でも人気をうしなった。

ときは泥沼の中東に世界がウンザリし出した頃です。中国の台頭に対応する為日米関係はますます重要だとか、イラク復興とアフガニスタン支援に日本にお礼を述べ、核拡散防止条約に調印した日本をベタ誉めした。米がしてやったりと喜ぶのは当然でしょう。しかし、ちょっとおかしいではないか、あの条約に調印すべきパキスタンやインド、北朝鮮は無視 ま、イスラエルは我関知せずを米が許しているから、結果、日本だけが核保有国を喜ばせるだけのお人好し国家であった。また第2次レポートは27pに増え、初回の4倍ですから人は読まない。初回と違って日本語の全文翻訳もなかったようにおもう。


次回は少し15日の発表会について感想を述べます。(続く)






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