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誰も買わなくなったスペイン国債
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( 2012年 7月 25日 水曜日 )
● ひどいスペイン風邪
スペイン国債の利回りが7.5%を超え、買い手がつかなくなった。ギリシャの国債はECBが担保にしないというから完全に死に体である。スペインの銀行破産はエCBが支援して助けたが、あちこちで自治体が破産している。自治体を助けるのは中央政府の責任だが、スペイン国家の財政はあの通りでそれどころではない。欧州の王室も財政カットされ、お妃やお姫さまたちはブランドの買い物を控えなければ。身内ではたいへんご不満のようです。 ●ヒタヒタと忍び寄る経済危機 当地ノルウェーにもヒタヒタと不景気が忍び寄ってきました。スペインとのビジネス計画はキャンセルがあいつぎ、EU国ではない黒字国ですからノルウェー通貨クローネが上昇し、輸出産業がふるわない。このへんの事情は日本やスイスと同じで、行き先を失っただぶついた投資金が安全な円やS.フランやNクローネに宿を借りるのである。海外旅行に割安感があって庶民にうれしいのだが、困ったことに当地では公務員の海外出張がいつのまにか増えているそうです。 ノルウェーの大きな輸出産業であるフィヨルド養殖サーモンや北海石油は安い人件費の海外に製造が移せない地場産業のため、経営者はEUが立ち直ってくれと無い物ねだりにため息をつくばかり。政府にも打つ手はない。これでイタリアがいよいよとなるまで欧州経済危機は続くでしょう。おおざっぱですが今年いっぱいは1ユーロが80円台、1ドルが70円台と、腹を括って耐えよう。 話題を変えて泥沼のシリアについて: ●愚鈍な王様、恐怖の大王アサド しかし、欧州は経済で加盟国のなかでギクシャクしても戦争にならないのがいい。このこと本気で有難いとおもうのです。シリアではアサドの軍人たちが大臣を殺されてアタマにきたか、戦車ではだめ、ヘリコプターをもっと使え、そしてとうとう虎の子の戦闘機を反体制派の一拠点アレッポを攻撃した。 戦闘機はミグ、シリアの軍備はむかしからロシア製で、トルコはアメリカ製だ。アサドはまちがって撃墜したトルコのF4事件の際、F戦闘機が束になって襲来する事態に震え上がり平謝りに謝った。そのアサドが敵であろうとも同国人にミグを飛ばすとは、カダフィと同じではないか。こすからい悪党である。 アサドシニアは骨の髄まで反西洋概念のがんこ者だったが、息子のバッシャーは英国で教育を受け、英国育ちのシリア女性と結婚した民主主義の信奉者だったが、親父の官僚を引き継いだだけでは何も出来なかった。レバノンでハリリ大統領が暗殺されたとき、犯人はシリアの軍部であることが国連でも明らかにされたにもかかわらず、アサドジュニアはあり得ないとシラを切った。そのころのわたしは、可哀想に部下からナメられた若い跡継ぎだもの、そんなふうに善意に解釈していたのでしたが、とんだ食わせものでした。(了)
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