安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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市音(しおん)は消えても良い
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( 2012年 5月 28日 月曜日


●大阪城、ハコとヒト
先ずわたくしゴトで失礼。今年の4月、生まれて初めて大阪城公園に行った。60年代後半を梅田界隈で働いていたので、通勤の途中環状線から大阪城がよく見えた。いまはよく整備されて鉄筋コンクリではあるが大阪城の規模に圧倒された。豊臣天下の偉容は、国会議事堂もキャピトリヒルも凌ぐ堅牢豪華さで見る人をして畏怖させずに置かない威圧感がある。こんな天下城が一代で家康砥の戦いに負け天下が代るのだから、ハコでなくてヒトが国家を動かすことがよくわかる。

大阪城公園内にレストランがひとつあって、オウナーと昵懇の友人がここで仲間を集めて一室確保してくれたので行ったのですが、日本の修学旅行グループより韓国・中国のグループ名がズラーと掲示されていて日本人のほうが肩身が狭い。

●市音建物と野外音楽堂
大阪城公園は大変広い、外堀の部分を歩いていた陰気でふるめかしい建物があり、大阪市音楽団と大きく表示されている.その向かいに野外音楽堂があって、こちらも侘しい雰囲気。ハリウッドボールでさえ華やかさを失った昨今、公園内の閉じられた空間で知名度のない音楽団が公演する価値があるのだろうか。

市音という名称は大阪人でも知らないのではないか、筆者は関西出身だが大阪市立音楽団なんて思い出せない。橋本市長が市直営を廃止、楽団員は事務職に配置転換はムリ、クビだと通告したニュースを聞いていたので、ハハー、ここか、廃止されそうな雰囲気だなと、外形からでもそう感じたのでした。

●貢献度に見合わない市営吹奏楽団

さて、プロの吹奏楽団は東京吹奏楽団というのがありましたっけ、余り聞いた事がない。36人の楽団に市が4億3000万円の予算を与えている公共の吹奏楽団があるというのがそもそも異常ではないか。民間でやるのはよい、また市の催し物には優先的に利用してもらい、市が普通より高額のギャラを出しても良いが、基本は自立した民間の吹奏団として運営されるべし、とおもう。

●財政改革のプロがいない市音の不幸
交響楽団と違って、ブラスバンドはプレスティージが高くない。それでいいのだ。名演奏そのものが存在をかける交響楽団なら公共の支援があってよい。それだって全額にちかい支援など世界の名だたる交響楽団で受けていない。だから超一流の楽団でもない限り、破産解散が珍しくない。有名楽団の分厚い年次報告には法人に課せられる会計収支が克明に掲載されている。当地ベルゲンフィルのそれは100ページほどある。それなのに市音では明細がよくわからないから、財政的に改革する人間が内部にいなかった。これまでとてもズサンにやって来たのでは?との疑いが部外者に感じられるのである。

●吹奏楽が交響楽のマネをする愚
活動や、実際の演奏をユーチューブで聞いてみてはっきり、この楽団は4億数全万の支援に値しない。私感ですが、吹奏楽で「ここまでできる」という水準をみせたいのだろうか、シンフォニーみたいな新曲を情感こめて吹奏楽で聞かされるのは苦痛である。市音がやっている教育活動はあってもいいが必要不可欠ではない。催し物での演奏は警察や自衛隊、あるいは上手な高校吹奏楽部で用は足りる。「ガンバレ市音」という存続を訴える無料コンサートがありました。しかし市長が橋本でなくても、いちど知れ渡った市音の財政的、音楽水準の実態では市から切り離すしかないだろう。(了)






Pnorama Box制作委員会


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